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愛しているから
【青春 恋愛小説】

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ふがいないや-3

突然の修の謝罪に、俺はただただパチパチと瞬きを繰り返すだけ。


だって、俺が沙織と別れたせいで、せっかくのキャンプが微妙な雰囲気になってしまったのは紛れもない事実で、当事者の俺が謝るならわかるけど、無関係の修が謝る必要なんて全くない。


「何でいきなり謝るんだよ、意味わかんねぇ」


「いや、だってさ……」


そう言って組み立てたテーブルの上をふきんで拭きながら修はチラッと視線を、コテージの中のキッチンで野菜を切る沙織の方に向けた。


「別れるつもりだったのに、オレと歩仁内でお前のドウテイ脱出計画なんてふざけてたきつけてさ。

お前の気持ちも考えないで、勝手な真似をして、悪かった」


「ちょっと、待てって! それはだな……」


慌てて否定しようと、声が大きくなる俺を制するみたいに、首を横に振った修は、フッと寂しげに笑った。


「オレは、お前と沙織にはずっと付き合っていって欲しかったんだけど、こればかりは本人同士の問題だからな。

たとえ別れてもオレ達は変わらないで接するよ」


「違うって、話聞けよ!」


慌てて必死で否定をする。


確かに別れよう、なんてバカなこと言ってしまったのは事実だけど、修達には誤解されたくない。


「あれは間違いなんだ、だから元通りに戻れるよう協力してくれよ!」


せっせとテーブルを拭き終えた修に、そう詰め寄ろうとした、その時。


カウンターをもらうように、逆に胸ぐらを掴まれた俺は、テーブル越しに身体をグイッと引っ張られた。


息を呑んで、何も言えなくなったのは、修が険しい顔で俺を睨み付けていたからだ。


鋭い眼光に、一瞬で身体が竦む。


「てめえが勝手にいじけて、決めたことだろ? 今さら何言ってやがる」


「お、修……」


「沙織、ずっとお前に歩み寄ろうとしてたじゃねえか。なのにてめえは突き放して冷たくして」


ち、違う……。突き放したのは生理現象があったから……。


言えなかったのは、修が本気でキレているからで、そんな時にこんなくだらないことなんてとても口にだせない。


……そうか、俺はこんなくだらないことで、沙織に素っ気ない態度を取っていたのか。





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