恋-5
美術展を見に行って
美味しいご飯をご馳走になって。
少しずつ彼との別れ話を忘れたころ
「明日も会える?」
と聞いてきた。
「あの・・・」
どうしようかと躊躇していたら
「会いたい」
と、ストレートに言われ、ビックリした。
「彼氏がいないんだったら、押すよ?
遠慮はしない。別れ話で傷付いているなら付け込む」
えばった感じでそんなことを言うから
可笑しくなって笑ったら、
「どうしても、美緒が欲しいんだ」
と真面目な顔で切り返された。
出会って数日の人にそこまで言われることにビックリしたけど
なぜか、嫌じゃない自分がいた。
「明日は・・・部屋にあるあの人のモノを整理しようと思って。
すっかり綺麗になってから、大久保さんとのことを考えたい」
素直にそう言うと
「ごめん。それは平日にやってくれない?
丸丸1日一緒にいられる時間を無駄にしたくないんだ。
やっと。一緒にいられるんだよ」
いったい。大久保さんの私への昔の思い出はどんな何だろう?
会話の端々にふと考えさせられる言葉が出てくる。
「明後日からイタリアに出張なんだ。
1週間は帰ってこないから。不安なんだよ。
もし、元カレの気が変わったら。俺のいない間に元サヤに戻らないかって」
それはないと思うけど。