幸代と瀬奈-4
瀬奈の様子が落ち着いたのを見て海斗は2人に言った。
「部屋に上がってゆっくり話そうぜ?なっ?」
「はい。」
幸代はゆっくりと瀬奈から体を離す。すると瀬奈が上目使いで若干はにかみながら見つめる表情にドキッとする。
「か、可愛過ぎる…」
思わずそう口にした。首を横に振る姿も可愛らしく感じた。あの豹変した顔からは全く想像でかきない。それだけに瀬奈の苦しみの大きさを感じた。
3人は部屋に上がりソファに座る。瀬奈はすっかり落ち着いた様子だ。海斗が運んできたコーヒーを前に色々と話をする。
「幸代さん、この間はごめんなさい。私、あんなんになっちゃって…」
「ううん?あれは私がいきなり押し掛けちゃったからいけなかったのよ。でも怖かったけどね?」
「ごめんなさい…」
肩を竦めて謝る瀬奈。
「でも私のあんな姿を見てもお友達になってくれる人なんて今までいなかった。殆どの…、いえ全員が私を気味悪がって離れて行った…。そしてどんどん孤独になってった…。」
「私は普段から変人上司と接してるから免疫ついてたのかもね。瀬奈さんが豹変する理由を色々と考えたりしてた。気になってたのよね、瀬奈さんが。それに私を理解して貰えないままじゃ嫌だったからね。瀬奈さんの事も全然分からなかったし。私、誤解したりされたりしたままじゃ嫌な性格なんだ〜。」
「だから男が寄りつかないんだよな!」
「はぁっ〜!?余計なお世話よ!!」
凄い剣幕で海斗を睨みつける。
「ったくクソ真面目なんだからよ〜。」
「海斗さんこそ少しは真面目になった方がいいですよ?だからなかなか課長になれないんじゃないですか??」
「お、おまえ…けっこうヘビーな事言うのな…。」
落ち込む海斗。2人のやりとりを見ていた瀬奈がクスッと笑った。
「幸代さん、カッコイイ♪」
そう笑った瀬奈の笑顔はとてもいい笑顔であった。