井上祥子の場合 ３-1
祥子は口紅を塗り終えると自分の体の中から何かがわき出てくるような気がしたが気のせいと思いついつつ、いつものように食器を片づけ、家の掃除をしようと思うのだが、なぜか今日はそんな気分にならない。
「どこか調子が悪いのかしら」と思いながら2階に上がり、昨日のこともあり、舞のことが心配であったので舞の部屋の部屋の中に入っていく。
「なにこの匂い？？」部屋の中は舞が昨日から窓を締め切り、わざと臭いが部屋の中に充満するように煙草を吸っていたので部屋の中は煙草の残り香が漂っていたのである。
いつもの祥子なら、急いで窓を開け換気をし、舞の変貌に嘆くのであるが、その煙草の残り香を深く吸い込むとうっとりとした表情になり、机の上を見ると舞がわざと見えるように煙草、ライターと灰皿を置いて学校に行ったのである。
祥子は煙草を手に取ると中から一本取り出して火をつけ煙草を吸い始める。祥子「吸ってみると意外に美味しいわね」そう呟きながら煙草を吸う祥子
一本吸い終わるとポケットから口紅を取り出し、塗り直しをすると、塗り終えた時からまた、何とも言えない高揚感がわきあがってくるのを祥子は感じていた。
「もう一本吸おうかしら」そう言いながら煙草に手を伸ばし、2本目を吸い始める祥子。舞の机の上には他に数冊の雑誌があり、祥子はそれに手を伸ばし読み始める。
本はビッチ化したギャルやヤンキー女が多数出ているような雑誌であったが、祥子は雑誌を読みながら煙草を吸い続ける。そして、吸い終えれば口紅を塗り、煙草を吸いと圧倒いう間に1箱吸い終えたのだった。
「あら、もうなくなったのね 美味しいからついつい吸ってしまうわ」などと言いながらクローゼットの中から置いてある舞の煙草をポケットに入れる。その時、煙草のわきにある広告があることに気づき、「あら なかなかいい服が売っていそうね 行ってみようかしら」というと広告をもったまま部屋を後にして行った。
「いらっしゃい」そう店員が祥子に声をかける。店員「あら あなたみたいなまじまな人が着るものは売っていないよ」祥子「誰が真面目なのかしら？」店員は祥子の顔を再度見ると「そうね あなたが好きな服がいっぱいあるからたくさん買ってねギャハハハハ」そういうと店の奥へ消えていく。
「おーイカしたのがあるじゃねーか」そう言いながら服の試着をしながら買う服を決めていく祥子、煙草を吸うたびに口紅を塗り直していた祥子、いや塗り直すというよりは唇に塗り込むように塗っていた影響で言葉づかい、性格が徐々に変わり始めていた。
以前なら地味で清楚な服を好んでいた祥子であったが、今の祥子はケバケバでエロい服を好むように変わり始めていた。買った服もケバケバなものばかりであり、質素倹約という言葉とは全く無縁な女に気に入った服はお金を気にせずどんどん買う祥子。ケバケバシイ化粧をした女店長にも「たくさん買ってくれてありがとうねお礼にこれをサービスしとくわ」と言われ、「この店気に入ったからまた来るぜ」と店環後にする祥子
祥子は店を出るとすぐに煙草をくわえ火を付け、煙を吐き出す。自分の今の家を出た時からの地味な格好が嫌で嫌でたまらない。目つきも鋭くなり始めて以前なら悪そうな雰囲気の男を毛嫌いしていたが今ではいい男と思うようになり、煙草を吸いながら歩いていると
「ちょっとあんた ここはくわえたばこ禁止だよ」そう年配の男に注意されら祥子は「あーん うるせえ ジジイ 誰に向かって注意してんだよ」とガンを飛ばし、吸っていた煙草を地面に投げ足で揉み消すと「ガーペッー」と大きく地面につばを吐き、新しい煙草を口に咥えると歩き始める
買い物の帰りに美容院により、自慢の黒髪の頭を茶髪に染め上げた祥子。今まで一度も髪を染めたことがなかったがもはや髪の毛を染めることに何の抵抗ももたない。それどころか黒髪の女を見るとなんであんな地味な紙で平気なのかしら？と思うように
家に帰ると買ってきた服に着替え、ジャラジャラとしたピアスを付け、化粧を終えたところで舞が帰ってきたのだった。