〈愚者達の夜〉-1
『なんて言うかよぉ……本当は俺らだけだったんだよなあ……』
『……ん?』
『どうしたんです、急に?』
彩未に飽きを感じ始めていた三人は、珍しく外で落ち合っていた。
一連の美少女監禁の首謀者と、データ管理の長髪男、そして、別に取り柄も無い小肥りのオヤジである。
夕暮れの迫る中、コンビニの前で缶コーヒーを飲み、タバコを燻らせていた。
『お前のデータを元に俺が作戦を立てる……他の奴らなんて、言っちゃ悪いが、ただヤルだけだろ?』
首謀者が抱えている不満とは、最初に出会った三人以外の、その他大勢の事だった。
首謀者の作戦に参加し、数にものを言わせて美少女を拉致するだけの、それだけの存在だ。
そして、せっかく捕まえた美少女も、その数によって直ぐに消耗させてしまい、使い物にならなくなってしまっていた。
『ごめん……そういや僕は、何の役にも立ってないな……』
『いやいや、お前は一番最初の仲間なんだから、別にいいんだよ』
小肥りオヤジが悄気(しょげ)たのを見て、首謀者は直ぐに言葉を改めた。
『それよりよ、あのガキ売っ払ったら、暫く狩るのを止めねえか?』
首謀者の提案とは、彩未をあの監禁部屋から消し、他の男達が来る理由を失わせ、そして残った三人だけで新しい美少女を狩り、飼育しようという事だった。
『毎日毎日、十人以上の男にマワされたら、どんな牝だって直ぐに壊れちまうだろ?だから、俺達三人でよぉ……』
『そうかあ……それなら暫くは飼えますよね!』
『意義なし……僕と全く同じ意見だね』
長髪男もまた、かなり前から仲間の男達に不満を持っていた。
勝手にデータを盗み取り、目をつけていたアイドルを姦してしまった前科があるのだから無理もない。
『決まったな!まあ、俺達だけでいいってコトよぉ。あんな賑やかしの汁男優なんざ不要なんだからなぁ』
『ぷ…くくっ!し、汁男優……ふひ!』
長髪男は俯いて、肩を震わせて笑っている。
何も笑い声を押さえる必要も無いのに、必死に笑いを堪えている様は実に滑稽だ。