百合子の姪、珠美-3
3.
百合子が珠美に話をすると、珠美も他にいい考えがある訳でもないので、お任せしますということになった。吾郎とのデートは、翌週の水曜日に決まった。
吾郎のことは珠美も良く知っていて、後輩の女子部員の間では人気が高いとの事。珠美は、むしろ楽しみにしている風だったので、百合子はホッした。その一方で、自分より若い珠美が吾郎と結ばれる事に、嫉妬と不安を感じないではいられなかった。
(珠美ちゃんの幸せのためだし、吾郎さんは優しい人だから、裏切るようなことはしないわ)
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珠美と約束の7時より15分前に、吾郎は待ち合わせのホテルの最上階にあるバーに着いた。不安を抱えた珠美が、一人でいるのは心細いだろう。
珠美は、ジーンズにコートを羽織って来た。吾郎も、カジュアルなコーデュロイのコートを羽織った来た。
「先輩、ご無沙汰してます。今日は、変なことお願いしてすみません」
「やあ、しばらく。元気そうだね。しばらく見ないうちに、ますます綺麗になったねえ」
髪を振り乱して、蹴ったり突いたりする、稽古着姿の珠美の姿が思い出された。
化粧も板について、甘い顔に、すらりと背を伸ばしたプロポーションは、モデルでも通用するだろう。
「いいえぇ、駄目ですよ。百合子叔母さまから、話はお聞きになったでしょう」
「うん、君も災難だったねえ、僕が役に立つといいんだけれど、こんなオジンとデートなんて、君もよく決心したね」
「吾郎先輩は、女子部員の憧れの人でしたから、百合子叔母さまから話を聞いたときは、ええぇ本当にいいの?なんて思っちゃいました」
「そう思ってくれれば、ありがたい。僕が嫌われたんじゃ、話にならないからねえ。気を楽にして、僕に任せてみてくれないか」
「僕はダイキリを飲んでるけれど、君も何かリラックスをするもの飲んだほうがいいなあ。ジントニックでもどう」
「はい、お願いします」
アルコールが入って、珠美の口が軽くなってきた。
「ねえ、珠美さん、君は、事件以外に、男性とセックスをしたことはないの?」
「ええ、ありません。でも結婚すればそんなこと言っていられませんし、結婚はしたいんです」
「性欲はあるんだね、例えば、オナニーはしているとか?」
「はい、自分でするのは大丈夫なんです。クリトリスだけですけど。この際だから告白しちゃいますけど、先輩が、私のオナペットなんですよ」
「それは光栄だなあ」
「だから、今度の話を叔母さまから聞いたときは、あまりの偶然にびっくりしちゃいました」