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痴漢専用車両へようこそ
【痴漢/痴女 官能小説】

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手島の経歴-2

話は戻る。

陽子に待てと言われた陽司だったが、せっかく捕まえた陽子に対して、そのまま黙って引き下がるわけにはいかなかった。

『星司の事は暫く待とう。しかしお前の事は別だ。時代が違えば、お前の想いも叶っただろうが、今は赦されないのはお前もわかるだろ』

しばらく前なら、遠慮がちに言っていた陽司だったが、今ではあからさまに言うようになっていた。各務家では隠し事はできない。陽子が弟に身内以上の好意を寄せている事は、陽司は昔から知っていた。

星司に恋人が出来、少し改善されると思っていた矢先に、その星司に問題が起きた。星司が帰家をした時は、危うさを感じながらも、陽子に星司を託すしかなかった。そのため、親としては必要以上に釘を刺す事になったのだ。

「わかってるわよ…。あたしにも考えが有るからもう少し待って」

『その考えを教えてくれ。この前に会った時も、お前の頭には星司しか無かったぞ』

「う…」

図星を突かれた陽子は言い返す事ができない。

(言いすぎたかな…)

普段から強気の娘が、言い返せない事を不憫に思った陽司は少し声の調子を変えた。

『手っ取り早く、この手島でどうだ?』

「えっ?手島くん?手島くんがどうしたの?」

脈絡も無く突然出てきた名前に、陽子は全くピンときていない。

『だ、か、ら、手島の子を産んだらどうだと言ってるんだ』

「えええっ!」

おどけた調子の声で、思いもしなかった事を言われた陽子は驚いたが、当の手島の驚きの声も電話器の向こうから聞こえてきた。

『何が『えええ』だ。よくよく見たら、こいつ凄くイケメンでいい男じゃないか』

「バカじゃない!手島くんなんて、そんな対象に考えた事もないわ。あたしにとって手島くんは可愛い弟みたいなものよ」

『こいつが弟って言うなら、お前にとっても好都合じゃないか』

「バカ―――!何言ってるのよ!そんな意味じゃないわよ。手島くんは、あたしにとっても本当に可愛い弟なのよ」

陽子は怒鳴りながら、手島と初めて出会った日を思い浮かべていた。




――12年前――

「陽子ちゃん、ごめんなさい。こいつったらどうしても付いて来るってきかなくて…」

悠子は申し訳なさそうに言いながら、目の前でボディーガードの様に立つ、少年の頭をポンポンと叩いた。少年は煩そうに悠子の手を払いのけると、挑むように陽子を睨みつけた。

陽子が高校2年生に進級した時、同じクラスになった悠子と出会った。行動的でズケズケと話す陽子と、大人しい悠子とは何故か気が合い、2人は直ぐに友達になった。

共に好きな俳優が出ている映画を2人で見る約束したが、待ち合わせの場所に現れたのは悠子だけではなかった。


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