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痴漢専用車両へようこそ
【痴漢/痴女 官能小説】

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手島の経歴-1

【手島の経歴】

陽司から星司の事を聞かれた陽子だったが、いつもと同じ答えしか返せない。

「随分良くなってるのよ。もう少し待って」

人が生を全うする上で、性による影響を受ける事がかなりを占めていると言える。過去、為政者の人生が、性によって左右される事も多くあったはずだ。信長の姪が、秀吉の人生を左右した事や、大奥での発言により、世の大勢が決まるような歴史もある。それらの事を歴史の裏から見続けた各務家は、性に対するタブーを犯す事を厭わない傾向にあった。

各務家の当主たる陽司は、今、陽子が星司のためにやっている事は勿論知っている。性を制裁の対象にする行為や、それに付随する自堕落な性行為は、勿論社会的モラルの観点から見れば、当然にして悪となる。しかし、各務家ではそれは許される土壌にあった。

陽子の意見を聞き入れ、今までは好きにさせていたが、陽司はそろそろ答えを出さなければならない時期に来ていた。当主としては、当然ながら万が一の事も考えておかなければならない。その事を踏まえて、ここ最近の陽司は、星司もさる事ながら、陽子自身に対しても答えを求めていた。

『待つにしても、お前自身はどうなってるんだ?家督を継ぐにしても継がないにしても、お前はもう子供を作らないといけない年齢だぞ』

各務家で何よりも大事なのは、能力の継承だった。そんな各務家では代々、より強い能力を継承させるには、早く子を成す事に有るとされていた。万事早婚の各務家では、三十路を前にいまだに未婚の陽子に対してかなり気を揉んでいた。

星司を愛する陽子は、その事を求められる事を負担に感じていたので、陽司と顔を会わせたくなかったのだ。しかし、顔を会わせたくない理由は他にも有った。

「何度も言わせないでよ!星司の事が終わらないと、今はそんな事は考えられないのよ」

とにかく今は、最後のハードルを乗り越える事だ。しかしその後は…。

(優子ちゃんなら…)

突然陽子の脳裏に優子の顔が浮かび、胸が熱くなった。

(優子ちゃんなら…、あの子ならあたしは諦められる)

同性の自分から見ても可愛い優子。

その優子の存在が星司を癒すだけでなく、自身も癒されている事にも陽子は気付いていた。各務家の者は元来強いが、それでもその特殊な性質上、かなりの癒しを必要としていた。悠子にはそれは無かった。悠子は癒される存在ではなく、全力で守るべき存在だった。特殊な各務の家では到底受け入れられる存在ではなかった。

その事をわかり過ぎていた星司だったが、結局悠子のために家を出る事を選んだ。残された陽子は2人の事を思うと毎日が不安だった。結果は陽子の考えていた以上の最悪の悲劇となった。

しかし優子なら…。優子なら星司を託しても安心していられる。

その優子の存在は、もう少し伏せておきたい。各務家に知られたら、気の早い者達の画策によって、変な方向に向かう可能性も考えられる。悠子の事で懲りていたので、いまだに不安定な2人の事は誰にも触らせたくは無かった。

その事が陽司と距離を取り始めた一番の理由だと言えた。

各務家の能力を使っても、中々心が読み取りにくい者は居る。それが手島だった。成長過程の環境が影響しているのかわからないが、陽司と手島が初めて面会した時の事、中々心を読ませない手島を陽司は面白がった。

「面白いな。いいだろう。お前は今日からこの家の秘書でどうだ」

「秘書って、何をやるんですか?」

「適当に。自分で勝手に仕事を見つけたらいい」

「じゃあ、遊んでようっと」

星司ほど能力が強ければ、手島が相手でも容易に心を読んでしまうが、力の弱い陽司に心を読ませないとわかって、手島を連れてきた陽子は密かに安堵していた。


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