久-4
「大久保さんっていくつなんですか?」
「おれ?俺は30。美緒は?」
あ、美緒って呼んだ。
「24です」
「そっか。6つ違いか」
年齢をしらなかったってことは、どんな知り合いよ?
「人違いってことはないんですか?」
私のその言葉に、改めて顔をじっと見られる。
「いや・・・間違うはずはないよ」
そんな風に真面目に、愛撫されるようにささやかれたから
ほのかにほほが赤くなった。
「ほら。そんな風に赤くなるのも変わらないね」
優しく私を見つめる目を遠い昔、どこかで見たことがあるかもしれない。
でも、その顔は子供の顔じゃない気がする。
何だろう?この記憶は。
私が子供ならこの人だって子供のはずなのに・・・
この人の、お兄さんか、お父さんの記憶?
「いや。ごめん。もうこの話は止めよう」
そういって私のほほを対席から腕を伸ばしてそっと撫でた。
そのあまりに親しげな行動に少しびっくりしたのに。
身体の奥底がほんの少し反応した。
なに・・・?この感覚。
「美緒は・・・彼氏は?」
話しを変えようとして言われたその言葉に、
忘れていた彼を思い出した。
「います」
「そっか」
それ以上、深く聞いてこない大久保さんに優しさよりもじれったさを感じた。