趣味嗜好について-1
【趣味嗜好について】
「おい、ヒソノ!」
「何だよナカジタ」
下校途中に、クラスメートのナカジタから呼び止められたガツオは、急ぐ足を止めて、困惑顔を友人に向けた。
「どうしてそんなに急いでるんだよ」
「どうしてって、早く帰らないと見つかるじゃないか」
「見つかるって誰に?」
ナカジタが聞いたその時、校舎の3階の窓から叫ぶ声が校庭に響いた。
「あっ、居たー!ヒソノくん、まだ返事聞いてないわよー。今降りていくから待ってなさいよー。居なくなったら赦さないからねー」
ガツオはビリビリと響くその声を聞いて、ビクッとして身を縮めた。
「ほら見つかったじゃないかー」
「見つかったって、ハナグマさんじゃないか。どうしてコソコソするんだよ」
ナカジタは不思議そうな顔をした。
「お前知らないのか?ここ最近のハナグマさんが、『家でパーティーをするの』って、誘い込んだ男を無理矢理強ちんしてるんだぞ。せっかくこっそり逃げようとしたのに、ナカジタはのせいだぞ!」
ナカジタののんびりとした顔に、ガツオは苛つき噛みついた。
「強ちんて大袈裟な」
ナカジタは笑った。
「お前は知らないから、そんなに悠長にしてられるんだよ」
「ボクが知らないだって?ははは、何を言ってるんだよ。ボクは昨日そのパーティーに行ってきたんだぞ」
「何だって!」
ナカジタの思いもしなかった言葉に、ガツオは驚いた。
「凄く楽しいパーティーだったよ。あのムチムチした柔肌、思い出しただけでゾクゾクしてきた。ヒソノが行かないならボクが行くよ」
「ナカジタ!お前ってデブ専だったのか…」
友人の嗜好に驚くガツオだった。
「いやあ、そうでもなかったんだけどなあ。でも、ヒソノもあの肉に喰い込む縄を見たら、絶対に病みつきになる事請け合いだ」
「げっ!ハナグマさんて、そんな趣味なのか」
「そんなにバカにしたものじゃないぞ。特に割れ目のところは、喰い込み過ぎて、縄の存在がわからないほどだからな」
ナカジタが遠い目をしながら、それを思い出してウットリとした。
「ごくっ…」
ガツオもそれを想像して、その卑猥さに生唾を飲み込んだ。更に友人は輪を掛けて力説を始めた。
「それに、フェラの上手さは抜群だぞ!」
「何だって!」
最近、カオルのフェラチオを受けて、それに目覚めたガツオは喰いついた。
「ああ、あれはハヤカイさん、いや、カオルちゃん以上だ」
「何だって!」
ハヤカイはいいとしても、カオルがナカジタのモノを咥えこんでいたと知って、ガツオはショックを受けた。しかし、それだけでは終わらない。
「そうだなあ、サセエさん級、いやいや、ヒソノのお母さん級だったぞ」
「ゲッ…」
ガツオは絶句した。
「それに嵌め具合が絶品だったぞ。カオルちゃんも良かったけど、締り具合はハナグマさんの勝ちだな」
「お前、カオルちゃんとやったのか!」
ガツオ自身、カオルとはフェラチオ止まりだったのに、それより進んでいるナカジタに殺意を覚えた。それに実際の性交が、ガツオはまだ一人しか経験が無いのに、友人はもう複数人体験していた事がそれに拍車をかけた。
「まあな、そりゃあ、しっぽりとした上手さはサセエさんやヒソノのお母さんの方が上だよ」
「お前、姉さんや母さんまで…」
ガツオはぶるぶると震えだした。それは怒りからなのか、一見おとなしそうに見える友人の本性を垣間見たからなのか、はたまた、その両方かもしれなかった。
「しかし、何と言ってもワレメちゃんの締り具合が一番だけどな」
ガツオはそれを聞いて、ようやく少し優越感が湧いた。
ナカジタの一番良いと思う女と、自分が毎晩やってるとわかったからだ。
おしまい。