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プラネタリウム
【ラブコメ 官能小説】

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C.-8

7月最後の夜勤は、瀬戸がリーダーだった。
この間の事を聞くか聞くまいか…。
そんなことを考えている午前2時。
今日はナースコールも少なく、わりと暇な夜勤だ。
陽向はウトウトしながら記録をしていた。
はっとなり画面を見ると、大量の「あ」の文字。
「ぅあー…」
1人で呟いてノロノロと「あ」を消す。
消している途中、背後から「だっさ」と声が聞こえてきた。
振り向くと2時のラウンドを終えた瀬戸がバカにしたように笑っていた。
…いや、笑っているかはマスクで分からないが、鼻を鳴らした感じは完全に笑っている。
「すみません」
イラっとしつつも、大分上の先輩なので何も言えない。
瀬戸が同期だったら、多分仲良くなれないタイプだ。
「てかさ」
瀬戸は斜め向かいのパソコンの前に偉そうに座り、陽向を見た。
「…はい?」
「この前、武蔵山公園にいたっしょ?」
「え…」
武蔵山公園とは、この間湊と行ったところだ。
そこで、瀬戸を目撃した…。
「いましたけど…」
「あれ、彼氏?」
「えっ?!あ…あー、そーですけど…」
なんで焦ってんだ自分!
むしろ見られて困るのは瀬戸の方なのに。
「お前のわりにイケメン連れてんのな」
「は?」
「は?じゃねーよ。先輩に向かってなんだその口。殺すぞ」
「あっ!すみません…」
謝りつつ、心の奥底では殴りたい気持ちでいっぱいだ。
「てか、瀬戸さんあの時一緒にいたのって…あの、まさかとは思いますけど…」
陽向がオドオド言うと瀬戸は「あー、進藤?」としれっと言った。
やっぱり進藤さんだったんだ…!!!
「付き合ってるんですか…?」
陽向の問いに瀬戸は黙った。
聞いちゃいけない事だったのかな、やっぱり。
病棟でもそんな噂聞いたことないしな…。
「だったらどーなの?」
「え」
「俺が進藤と付き合ってるんだったら、どーなんだよっつってんの」
「……」
「周りに公言する?」
「いや…」
「ま、しゃーない…」
瀬戸は立ち上がると陽向の隣に来た。
殺気立った目をしている。
「誰にも言うな」
低く囁かれ、鳥肌が立つ。
それだけ言うと、瀬戸は点滴を作りに行ってしまった。
周りに言っちゃいけない理由があるのか…?
やっぱり病棟内での恋愛は禁止なのかな…。
陽向は悶々としながら再び記録に手をつけた。


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