幸代の決意-6
海斗は少し考えてから言った。
「でもあの荒れ狂う姿を見ただろ?いつおまえに危害が及ぶか分からないぞ?」
唯一の心配は幸代の身の危険だ。それは自分の体が物語っている。
「覚悟してます。その時はその時です。でも私が瀬奈さんの事を理解してあげる事がてきたなら、きっと私に危害を与える事はないと思うんですよね。それに私、こんな性格だしあまり友達がいないから、私自身、友達が欲しいなって。」
幸代の気持ちに感謝した。自分を助けてくれるというその気持ちが嬉しかった。
「ありがとうな、幸代。頼むわ…」
海斗はスッとそう言った。その言葉に驚いたのが幸代だ。海斗にありがとうだなんて言われた記憶がないからだ。
「あ、ありがとうだなんて…海斗さんから初めて言われましたよね!?」
もはや気味の悪ささえ感じた。
「俺だってたまには言うわ!」
変人の照れ隠しが可愛く思えた。それだけ海斗も精神的に弱っているんだな、そう思った。
幸代もただの人助けではない事は理解していたし、危害が及ぶ及ばない以前に精神的に辛い事になる事は承知していた。なぜなら好きな海斗とセックスしている女性と友達になろうとしているのである。むしろ自分がまともな状態でいられるかいられないかが心配でもあった。しかしまだ自分は海斗の為に何もしていない。海斗を好きだと言う以前の問題だと自分を言い聞かせて覚悟を決めたのである。その為、ある意味幸代にとっては自分への挑戦でもあった。
「俺も出来る限りおまえを守るよ。」
「はい。ありがとうごさいます。」
幸代は本当の意味で海斗に守ると言われる日まで努力しよう、そう思った。