幸代の決意-5
朝からひと騒ぎがあり恥ずかしい思いをした幸代だが、今日も海斗と外回りだ。
「朝から変な事言うから恥ずかしかったじゃないですか〜!」
頬を膨らませながら海斗に怒る。
「ククク!まぁいいじゃん。おまえの体臭疑惑が晴れたんだから!」
「良くないですよ!!」
「おまけにフェロモン分泌してる事まで判明して一石二鳥じゃんかよ!」
「フェロモンなんて出てませんから!だいたいそんなのが出てたら男が寄って来てしょうがないはずでしょ!?誰一人寄ってけないし、だいたいいつも一緒にいる海斗さんでさえ女として私に興味持たないじゃないですか!」
「アハハ!でもヤラさせてくれるっつーならヤレるぜ??」
「えっ…?」
予想外の言葉にドキッとしてしまった。
「何をポッてしてんだよ!ハハハ!」
「あ〜!!からかいました!?」
「ククク!別に?」
「…もう知りません!」
そっぽを向いてしまった幸代。恥ずかしいやら悔しいやらでまた顔を火照らせてしまった。ちょっと期待してしまった自分が情けなく感じた。しかしどうせ馬鹿にされて終わるのはいつもの事をだ。幸代は気を取り直して海斗に言った。
「あの…」
「ん?何だ?」
幸代は昨夜自分なりに考えた事を海斗に伝える。
「今夜、瀬奈さんに会いに行ってもいいですか?」
「えっ!?」
海斗はびっくりして思わず急ブレーキを踏んだ。
「ど、どうしたんだいきなり…?」
側道に車を止めて幸代を見る。
「私、瀬奈さんとお友達になろうかと思うんです。」
「と、友達…?」
「はい。海斗さんに私の影を感じてるうちは私への嫉妬は直らないと思うんですよ?なら私と言う人間を理解してもらって、私は瀬奈さんの敵じゃないって分かってもらうのが一番じゃないかなって。私の存在をちゃんと理解してくれれば私を優衣って人と重ね合わせる事はなくなると思うんですよね。それに瀬奈さん、誰とも知り合いいなくてきっと寂しがってると思うんですよ。買い物だって行きたいだろうし、あちこち出かけたいって思ってるんじゃないかって。だから一緒にショッピングとか行く女の友達が必要なんじゃないかなって考えたんです。ほら、精神的に辛い思いをしてるのに家に閉じこもりっきりじゃ余計にまいっちゃいますよ。そう思いませんか??」
「…、うん。確かにな。」
海斗は幸代がそこまで考えてくれている事に感動したし感謝していた。同性との関わりも瀬奈にとっては必要なのかな…、そう思い始めた。