瀬奈の真実-2
辛い事を思い出しがら、何とか海斗にありのままの真実を話そうとする瀬奈が痛々しく感じる。
「結婚してから一ヶ月が過ぎた頃、段々と有樹の行動に疑問を持つ事が出てきてね、まぁ分かり易い事なんだけど部屋にいる時にチョコチョコとトイレに行ったり煙草を吸いにベランダに行ったりとコソコソする姿が気になり出したの。夜に一人でコンビニに行く事も多くて、一緒に行くと言っても頑なに拒んだり。怪しいとは思ったけど、でも携帯チェックするような真似は嫌いだからね、モヤモヤを抑えつけて気にしないふりをしてたの。でも私が気にしない素振りを見せる事によって安心したんだか何だか分からないけど余計にそういう行動が増えてった。帰りも遅い事もしょっちゅう。そんな状態で三ヶ月ぐらい過ごしてた…。」
そこで少し間を置き気持ちを落ち着かせて再び話し始める瀬奈。
「その頃から遅くに帰って来た時にシャツから香水の匂いがするようになった。あからさまに女性の香水…。あの忌々しいあの…あの…」
香水の匂いを思い出した瞬間、瀬奈の心が乱れる。それは見ている海斗にも分かった。
「海斗…、お願い…。脇に来て手を握ってて欲しい…」
心の高ぶりを必死に抑えながら海斗に言った。
「あ、ああ!」
海斗は急いで瀬奈の隣に座り手を握る。瀬奈は海斗に体を寄せ両手で手を握り締め息を整える。
「ありがとう海斗…。もし暴れ出したら縛りつけてね?平気だから…。」
「バーカ、SMには興味はねーよ。」
「ンフッ…」
瀬奈は微笑した。おかげで少し落ち着きを取り戻せた瀬奈だった。