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THE 変人
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異変-6

 体を震わせながら、よくこの精神状態で事故を起こさなかったと思う程に車を走らせて海斗の家からだいぶ離れた所にある公園の駐車場にひとまず停まった幸代。ハンドルを握る手は汗ばみ腕は震えていた。
 「こ、怖かったぁ…」
グッタリとして溜息をつく。あんな恐怖は生まれて初めてだ。殺意を持った人間と対峙した事などある訳がなかった。思い出しただけでも怖くなったし、追いかけて来ていないか心配になってしまう程に恐怖を感じていた。
 「何で私が殺されなきゃならないの…。て言うか…あの人誰…?」
見知らぬ女性に戸惑う幸代。もし知香や聡美であったなら自分が殺意を抱いていたところだと思った。鬼の形相はしていたがかなりの美人な事は確かだ。しかも海斗の家に訪れて来た感じではない。格好から見て部屋着だ。ずっと海斗の家にいた事を思わせる。
 「彼女…かな…。」
胸が騒ぐ自分の心に気付く。そう口にした瞬間、自分の予想を遥かに上回るジェラシーを感じた。
 「でも海斗さんの事を有樹って呼んでた…。有樹って誰…?本当は海斗って名前じゃないの??それに私の事、月島優衣って呼んだよね…?誰…?私を誰かと勘違いしてるの…?」
考えれば考える程頭の中が混乱する。海斗と瀬奈、そして月島優衣という女性の関係が気になって仕方がなかった。
 しかし異常な光景を目の当たりにして、ただ海斗に彼女がいるいないに収まらず、もっともっと複雑に絡み合う難解な事なのではないかという気もした。
 「海斗さん…分かんないよ…。あなたは誰かと付き合ってるの…?私に付け入る隙はないんですか…?」
幸代の瞳から涙が溢れて来たのであった。


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