異変-3
海斗は夕飯を終えテレビを見ている時だった。瀬奈は食器を洗っていた。
『ピンポーン』
チャイムが鳴る。
「ん?誰だ??こんな時間に誰か来るなんて珍しいな…。」
そう言って立ち上がり玄関のモニターを確認する。
「ん?誰だ…?女?」
海斗は気付かなかったが食器を洗っていた瀬奈の手が止まった。海斗がモニターをじっと見る。
「あれ?幸代か…!?」
その訪問者が幸代だと気付く。
「さ、ちよ…?」
台所から瀬奈の微かな声が聞こえた。海斗は振り向かず台所に背中を向けて立っている瀬奈に言う。
「ほら、同じ会社の幸代だよ。あいつ何しに来たんだ??てか良く家が分かったな。」
何気なくそう言って玄関に向かった。
玄関の外から人影が見えた。緊張感が増す幸代。足元が落ち着かない。鍵が開くカチャッという音に心臓が止まりそうな気がした。
ドアを開ける海斗。
「ど、どうしたんだ幸代!?」
ジャージー姿の海斗の姿に安堵する。若頭が出てきたらどうしようかと思っていたからだ。
「あ…あの…」
頭が混乱して何が言いたいのか分からなくなってしまった。
「良く家分かったな!?」
「あ、社員名簿を見てナビで…」
「そっか。事故らなかったか?」
「は、はい。何とか…。」
何だか知らないが緊張してしまう。それはプライベートの海斗に合うのは初めてだからだ。何かの間違いで中に入れば2人きりかも知れない。そうしたらいきなり今夜海斗に抱かれる可能性だってある。今履いている下着を思い出してもっといいのを履いてくれば良かったとさえ後悔してしまう程想像は飛んだ。そんな想像も含めて緊張してしまった。
「上がるか??」
この際だから瀬奈を紹介しようかと軽く考えていた海斗。しかし下着の事も含めていきなり今日はまずいと考えた幸代は慌てて言った。
「い、いえ…。ここに来たのは、今日仕事中に生意気なことばかり言ってしまったので謝ろうと思って…。」
海斗は何の事か良く分からなかったが、幸代から嫌な思いをさせられた覚えがなかった為に軽く答えた。
「いやいや別に気にしてないよ。いつも通りだろ?俺の下らない話にいつものらせて悪いな。」
「いえ、いろいろすみませんでした。もっと可愛らしく会話できるように努力します。」
深々と頭を下げる幸代。海斗は逆に慌ててしまう。
「謝る必要ねって。幸代との会話はいつも楽しんでるから、マジで!」
海斗は玄関のドアを大きく開き慌てて靴を履き幸代の前に立った。
「おいおい、止めてくれよ。何も悪くないのに頭下げるなんてさぁ!」
海斗は幸代の肩を掴みゆっくりと体を起こす。俯いたまま状態を起こされる幸代は恥ずかしくて海斗の顔が見れない。しかし何とか視線を上げた幸代。その瞬間真っ先に瞳に映ったのは海斗の顔ではなかった。
「!?」
海斗には幸代の目がガッと開いたのが見えた。