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愛しているから
【青春 恋愛小説】

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I'M A LOSER-1

全くもって、今の状況が飲み込めない。


辛うじてわかるのは、


マッチョ=別所くん
タトゥー=造田くん
坊主=蛭間くん


ってことと、彼らと州作さんが顔見知りってことだけ。


だけど、こんなガラの悪そうな男達が州作さんにペコペコしている、目の前の光景だけは、どうしても意味がわからなかった。


立ち尽くす俺と沙織を交互に見た州作さんは、ニッと白い歯を見せる。


「彼らとは同じ中学で、俺の一個下なんだ。ね?」


「は、はい!」


すると、話を振られたマッチョは、ピンと背筋を伸ばし、短く気合いの入った返事をした。


おい、キャラが変わりすぎなんだけど。


「それはそうと、その女の子、俺の弟の友達でさ、みんなで遊びに来てる最中だから、ナンパは遠慮して欲しいんだけど?」


州作さんがそう言った途端、タトゥーと坊主は沙織の腕をつかんでいた手をパッと離した。


「す、すいませんでした……。歩仁内さんのツレだって知らなくて……」


「まあ、いいよ。でも、嫌がる女の子を無理矢理連れていこうとするのはよくないからな。

今後はこういう真似はやめとけよ」


「はい、すみませんでした……」


「謝る相手違うだろ?」


その口調は優しかったけれど、お三方には州作さんの言葉の裏に何か殺気のようなものでも感じたのだろうか、すぐさま沙織の前に1列に並ぶと、


「すみませんでした!」


と、彼女に深々と頭を下げ、続いて立ち尽くした俺に向かっても、同様に頭を下げたのである。


それを、腕組みしながら満足そうに眺める州作さんは、俺と沙織を交互に見ると、


「みんな、腹空かせて待ってるからさ、早く昼飯買おうぜ」


と、俺が今来た方角にある海の家を親指で示してから、歩き始めた。





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