取られたくない。-9
車に乗り込む2人。車を走らせ県外へ向かう。常に下らない話を幸代に振るがいつもと何となく様子が違う事に気付く。
「おまえ、今日変だな??」
ドキッとする幸代は自分慌てる。
「そ、そんな事ないですよ!早く出かけるの忘れてて反省してるだけです。」
「ふ〜ん…」
疑いの目で幸代をチラッと見た後、意識はしていなかったがつい幸代の脚に視線を向けてしまった。それに気付いた幸代はとっさに脚を閉じ太股を隠すかのように手を置いた。
「やっぱ何か変だ。」
「別に何でもないですって…」
ドキトキする幸代。まさか昨日海斗をネタにオナニーした事などバレるはずはないと思っていた幸代だが、デリカシーのかけらもない海斗はミラクルを起こす。
「あ!おまえ、昨日オナニーしたろ!!」
「!?」
心臓が痛く感じるぐらいにギクッとした。
「し、してません!!」
「嘘つけ!したろ!!」
「してません!!」
しましただなんて口が裂けても言えない。幸代は頑なに否定する。しかしカイとはしつこい。いつまでも聞いて来る。そんな海斗に幸代は弟を犠牲にする。
「じ、実は昨日、弟の部屋を覗いたら…、その…」
「センズリこいてたんだな!?」
「はい…。だからそれから男の人を見ると恥ずかしくなっちゃって…。」
「そうか、男のオナニー見ちまったか。」
「は、はい…」
「高校生だろ?そりゃ仕方ないよ。高校生にとったら日課だ、日課!」
「に、日課…。」
「ああ。お前、俺が高校の時は…」
海斗のエロ話が延々と続いた。幸代は今までのように突っぱねずやんわりと会話を続けたのは今までになかった事だ。海斗のエロ話に付き合いながらも幸代は全く違う事に心を乱されていたのであった。
幸代が心を乱している理由はさっきの事務所での事である。海斗が知香や聡美とイチャイチャしていた事への嫉妬だった。自分がこんなに嫉妬深い女だったなんて知らなかった。それに動揺し、そして心を乱されていたのであった。
知香と聡美とイチャイチャしていた光景を見て幸代はふと思ったのであった。
(誰にも取られたくない…。)
と。