取られたくない。-8
いつもより早く会社についてしまった幸代。1人デスクで仕事をしていると続々と社員が出社してきて声をかける。そしてやがて海斗が現れた。
「おはよーっす!!」
相変わらず馬鹿っぽい。しかし幸代は海斗の姿を見た瞬間、恥ずかしくなり顔が火照ってしまった。それもそのはず、幸代は海斗とセックスしている妄想でオナニーしたのだ。まるで本当に昨日海斗とセックスしたかのような感覚だ。パソコンに向かい手を動かすが当然身が入っておらず同じフォルダーを開いたり閉じたりしている。
そんな動揺ありありの幸代の元へ海斗が来る。内心ドキドキしている。マウスを握る手は汗ばんでいた。
「幸代、出掛けるぞ?」
「えっ…?も、もうですか…?」
「もうって、予め言っておいたはずだぞ?」
「あ、あれ…??」
幸代は手帳を見る。すると確かに県外視察の為に8時出発と書いてあった。大抵前日に次の日の予定を確認しているのだが、昨日はモヤモヤしていてついついそれをし忘れたのであった。
「す、すみません!すぐ準備します!」
慌てふためく幸代。しかし怒る素振りもなくいつものようにおちゃらける。
「じゃあ準備出来るまで知香ちゃんと遊んでよっと♪」
海斗は机を拭いている知香のところへ行く。
「おはよー知香ちゃん♪」
「おはようございます。てか、ダメです!机拭きを邪魔しないでください〜。」
「え〜、いいじゃん。」
「ダメ!あ、海斗さん、顔にゴミが♪」
「うわ!ついてねーよ!」
雑巾で顔を拭かれそうになり怯む海斗。
「ほら、海斗さん邪魔!」
聡美が尻で海斗を押し退ける。
「うわ!くそ、相変わらずケツ力強いぜ!相変わらずデケーケツしてんな!」
「何よ!?」
「完全に尻に敷くタイプだな、彼氏とか!アハハ!」
「ムカつく!幸代!早くこいつを連れてどっかに行って!!」
準備を終えた幸代が慌ててやってきた。
「ハイハイ、すみません。行きましょうね。」
「ああ。じゃあなデカ尻聡美!」
「ベーッ!!」
舌を出して見送る聡美。これもいつもの光景だった。