レ-2
「明日。横浜に帰るわ」
「・・・・」
「石島課長代理に報告して、契約書が出来たらまた来るから確認して」
「・・・・」
「大体4〜5日だと思うわ」
「送ってくれればいいよ。わざわざ、こんな田舎まで来る必要は・・・ない」
「―――そう」
そう会話した後、二人は一言も話さなかった。
何も言わずに家の中に入って
小さな声で「お休み」と言った。
昨日は祝福されているように感じた虫の声が。
「さようなら」と鳴いているようで。
布団にもぐって耳をふさいだ。
昨日はあの大きな身体に抱きしめられて安心して眠れた。
「一人じゃ寂しいよ。豪」
豪とセックスをした私が悪いのか。
何も分からない。
いきなり、契約してやるから帰れと言われた感じがする。
もう、これ以上ここにいたらお互いに辛いだけなのかもしれない。
あぁ・・・
辛いのは私だけか。
泣きつかれて寝た後に。
豪が部屋に入ってきて優しく髪をなでたのを私は知らない。