生きている理由-6
前回の失敗も在り、慎重に行う医師達…。臓器も今回はとても新しく全然腐敗などしていない、そのおかげで手術は成功した。
目を覚ますとやっぱりベットにいた、だがとても体が軽い。先生も晴れた顔で手術は成功した、これで貴方を長年苦しめていた物はもう何もありません…と話し。家族も涙と歓喜をあげる…。
それなのになぜか喜びを感じない、それはきっと坂本サンの時、手術を行う前夜に既に味わったからかも知れない。
希望に舞い上がったり、絶望に打ちひしがれたり、何が現実で何が夢なのか何だか判断が難しくなってきた。
そんな僕に、いずみが今一番大事な事を口にする。
「早く知らせてあげないと。」
「えっ?誰に……。」
「んもぅーしっかり!杏お姉ちゃんに決まってるでしょ!」
「!?」
そうだ、こんな所で混乱してる場合じゃない。
彼女に知らせよう、僕が生きている事を。
生きている事?……本当に伝わるのか?自分だって長年苦しめられてきた持病が完治し、
二十歳になっても死ぬ事はないと解ったのに、どうも素直に喜べないのに。
教えていいのか?会ってもいいのか?
僕はまた、変にブレーキが掛かった。
次回、27話へ続く。