甘い時間-3
「わ−!凄ーい!ちゃんと飛んだぁ!」
嬉しくて喜ぶ瀬奈。見事に海に着水しウキが立つ。
「簡単だろ?ゆっくりでいいから次は自分でやってみな?」
「うん!」
そう言って海面に浮かぶウキを見る瀬奈。
「ねぇ海斗ぉ…」
「ん?なぁに??」
「ウキが浮いたり沈んだりしてるんだけど…」
まだ投げたばかりだ。いきなり釣れているとは思わなかった瀬奈は糸か何かが絡まったのかと思った。
「おい!そりゃもう魚がかかってるぞ!?ゆっくり巻いても外れないから慌てないでリール巻いて!」
「う、うん!」
やっくりとリールを巻くと魚が暴れる感触が伝わった。
「おぉぉ…!!」
その感触にドキドキした。こんなにドキドキしたのは久しぶりだ。
「竿は立てて、ゆっくりな…。ウキが水面から上がったら竿を寝かして糸を巻いてウキの直前に竿先が来るとこで止めて、ゆっくり竿を上げるんだぞ?」
「う、うん。あっ!ビクビクしてる!」
「落ち着けよ?」
「何か重いよぅ…」
「たくさん釣れてるかもしれないぞ?よし、ウキの直前で竿先を持ってって、そう。よし、ゆっくり竿を上げて。」
「うん…。」
ゆっくりと竿を上げる瀬奈。すると海面から魚が次々と上がってきた。
「きゃー!魚!!いっぱい釣れてる!!きゃー!きゃー!」
大興奮の瀬奈。無我夢中で竿を持ち上げ、そして魚を岩場に下ろした。
「スゲーぞ!?針全部にかかってるぞ!?」
10匹も釣れていた。
「すごーい!!やった!きゃー!!」
瀬奈の声が大きく響き渡る。興奮と感動で体が震えていた。
「スゲーな、いきなり大漁じゃん!ほら、こっち向いて!」
「イェーイ!」
ピースサインして満面の笑みを浮かべる瀬奈の写真を撮った海斗だった。