甘い時間-2
朝4時。海斗が目を覚ますともう瀬奈の姿は無かった。眠い目を擦りながら寝室を出て階段を降りるとキッチンに立つ瀬奈の姿が見えた。
「おはよー。」
「おはよう海斗♪」
もう殆ど弁当の準備は終わっていた。昨夜興奮して2回もセックスした疲れを全く感じさせない瀬奈。海斗が近付くと目覚めのキスをしてくれた。
「もう準備できたよ?」
「ああ、今着がえるよ。」
もう一度キスをして着替えに行った海斗。そして車に乗り海に向かう。
「今日はいつもと違う、目をつけてた穴場に行くからね。」
「うん♪」
本当はいつも行っている釣り場に行きたかったが、そこは瀬奈が崖から飛び降りた場所だ。そこへ連れて行くのは気が引けた。今日行く場所は車を運転しながらチェックしてた場所の中の一つだ。人気もなくのびのびと釣りが出来そうな場所ではあったが何せ釣れるかどうか分からない。しかし地形的に深さもありそうで釣れそうな気はした。顔なじみのたくさんいる堤防に瀬奈を連れて行けば冷やかされたり余計は詮索をされる事が目に見えている。だから海斗は誰もいなそうな、なおかつ釣れそうな場所を選んだ。
釣り場に着くとさすがに誰もいなかった。岩場で少し危ないと言えば危ないが、幸い波も穏やかでのんびり釣りが出来そうだ。足場の良い場所に道具や荷物を置く。
空が段々明るくなってきた。
「あー、気持ちいい〜!」
潮香る空気を大きく吸い込む瀬奈。そして海斗が仕掛けを作るのを見ていた。
「朝8時までが勝負だからな!たくさん釣るぞ!」
「うん!」
「足元に気をつけろよ?ここから先には行かないようにな?」
「うん、分かった。」
「じゃ、投げてみろ。」
「えっ?私、どうやって投げるか分からないよぅ。」
釣りは初めての瀬奈。海斗も釣り初体験の人間と釣りに来るのは初めてだった。
「あ、悪い悪い!」
苦笑いした海斗は瀬奈の背後に周り竿を一緒に握る。
「いいか、よしって言ったら糸から指を話すんだぞ?」
「うん。」
「竿を後ろからこう投げて…、よしっ!」
指を離す瀬奈。仕掛けはうまい具合に飛んで行った。