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THE 変人
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上司と部下-9

 試合は真島アントルーズが5ー0で大勝した。ゴールする度に立ち上がり共に喜び、その喜びを共有したのは海斗とだけではなく、サポーター全員と共有できた気分がした。みんなと一緒に真島アントルーズを応援し、選手と共に勝利を掴んだ…、そういう気持ちになった。
 「観戦っていいですね!あ−、楽しい〜!」
 「俺もこんなに楽しいもんだとは思わなかったよ。また柴原に頼んでチケット貰うか!」
 「ダメですよ〜。ちゃんと買わないと。」
 「じゃあ今度来る時はおまえチケットとってくれよな?」
 「はーい!」
また一緒に観戦に来てくれる意志がある事を感じた幸代は嬉しかった。
 すると2人の元にあの親子、和馬と母親がやってきた。
 「こんにちわ!!」
和馬が元気よく挨拶してきた。
 「おっ!和馬君。楽しかったか?」
 「うん!このユニフォームのおかげでね!」
海斗はニッコリ笑って答えた。
 「そりゃ良かったな!」
和馬の頭を撫でた。母親も幸代を見て微笑みながら頭を下げ挨拶した。負い目のある幸代は恐縮気味に頭を下げた。4人は今の試合を振り返り勝利を喜んだ。そして話が一段落すると母親は改まって言った。
 「今回は色々とありがとうございました。失礼な事言ってしまってごめんなさいね?」
 「いえ、私がご迷惑をおかけしてしまったせいですから…。」
 「でもそのおかげでそれ以上の喜びを与えていただいたんでちゃんとお礼しなきゃって思ってたんです。本当にありがとうございました。」
 「ねーちゃん、ありがとう!」
和馬はウィンクしながら親指を立てた。幸代は(私は何もしてない…。海斗さんのおかげなのに…)と困惑しながら海斗を見ると、気にするなといった顔で幸代を見ていた。そして母親は幸代と海斗に話し出した。
 「私もね、小さい頃に親に連れられてよく宮島スポーツさんに行ったんです。そこで物凄く欲しいジャンパーがあったんですが、気に入った色がなくて、問い合わせて貰ったらその色は元々なかったそうでね。どうしようもないじゃないですか。メーカーに無いんだから。でも私、どうしてもその色のジャンパーが欲しくてダダこねたんです。そしたら後日、欲しかった色のジャンパーを届けてくれたんですよ。お店で見たのはナイキのでした。でも持ってきてくれたのメーカーロゴのところがピンクのハートの刺繍がなされてましたが、私はピンクのハートが大好きだったので物凄く喜びました。後で聞いたらそれは宮島スポーツさんが何と手作りで作って下さったとの事だったんです。きっと大きなとこだったらありませんで断られてしまうであろうところを宮島スポーツさんは私を喜ばせようとわざわざ作ってくれた。私はそれを忘れる事ができなくてずっと宮島スポーツさんで買い物してるんです。今回の件も本当に宮島スポーツさんらしくて嬉しかった。これからも宮島スポーツさんにお世話になります。」
親子はそう言って手を振り帰って行った。
 「あの信頼を俺達が台無しにしちゃいけないよな?」
 「はい。」
 「よし、帰るか!」
幸代は大きな大きな物を得てスタジアムを後にしたのであった。


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