真田竜彦と金沢悟史-3
金曜日の仕事帰り、先に竜彦達は約束のバーに入り優子の到着を待った。
「ごめんなさい、遅くなりました〜。」
1時間ほど遅れて入ってきた優子は心にもないような謝りと、サラリと髪をかきあげて堂々と入ってきた。
「お疲れ〜!」
遅れて来た事など全く気にしないように出迎える2人。席に着くと早速カクテルを注文して軽く乾杯する。
「今までこういう交流はなかったけど、これを機に!」
「乾杯!」
いい雰囲気で始まった。
「まさか優秀な2人からお誘いがあるとは思わなかったわ?」
「ハハハ!自分はもっと優秀だろ?」
「いいえ?そうは言わないけど、2人に負けないつもりで頑張ってるわ?」
「それはこっちも同じさ。おかげで毎日気が抜けないよ。」
「そー言って貰えると嬉しいわ?」
と、若干謙遜気味に言う優子だが、顔に自信という文字が色濃く書かれているように見えた。
「俺たち同期だけど、今まであまり話した事なかったね。」
「うん。私、イケメン嫌いだから。顔がいいだけで大して努力もしない男、嫌いなの。そう言うの多いから。」
「悪かったな!大した努力もしなくて。」
「あ、2人はまた違うわ?2人はイケメンだけど優秀。努力だってしてるの知ってる。だから絶対負けたくなかったの。ライバルと仲良くなるなんて有り得ない。」
「じゃあ何で今日、誘いに乗ったのさ?」
「それはもうお互い競い合うレベルから抜け出したって思ったから。て言うか、ようやく先月、初めてトップの座についたからかな!アハハ!」
先月、初めて竜彦や金沢の契約数を抜きトップセールスとなった。2人に勝った事で気分が晴れた為、優子の中で劣等感が消えた。これから対等に話ができると感じた為に誘いにも乗ったのだ。
「その意気込み、スゲーよな。大したもんだよ、山田は。でもまだまだ負けないぜ?今月はまたトップの座を奪い返してやるからな?」
「望むところよ。ウフッ」
対等に競い合う感じが気分いい。優子はそんな2人に気を許すのであった。