ン-2
昨日の事を何も言いださない豪に
特にこちらからも何も言わず、1日の作業が終わった。
ここにきてから1番の力仕事!って感じの1日が終わってみると
ぐったりして何もする気は起きなかった。
「響子。おい。ごはんは食べろ」
「いらない」
疲れ過ぎて胃が受け付けない。
「ダメだ。簡単に食べられるもんにしたから」
「ん〜」
やっとのことでソファーから起きあがり
食卓に着いた。
冷やしうどんだ。
今日収穫した野菜がふんだんに使われていた。
ちゅるちゅると何とか食べ終えると
もうそのまま横になりたい。
一体ドラマなんかどれぐらい見てないんだろう。
「おい。落ち着いたらお風呂に入れよ」
「それは本当に無理だって」
「ダメ。入れ」
全く。あんなに動いたのに豪は疲れている素振りを微塵も見せない。
憎らしくなってじっと睨んだ。
何を食べたらあんなに背が高くなるんだろう。
私だって低い方じゃないのに。
豪の隣に並ぶと小さく感じる。
私を軽々と抱きあげるあの筋肉だって
一体どんな仕事をしていればあんなふうになるのか。
横浜の会社帰りにジムに通って「見せるための」筋肉を
作り上げている男とは全く違う。
「何だよ?」