疑惑…-5
「いやー、結構な遠出だなぁー。」
事前にネットで調べた小樽の画像が、今目の前に現実として映り。
俺は一体何をしてるんだろう?一度惚れただけの女とその恋敵である男の為だけに、休日返上でこんな場所に遥々と。
放っておけないのかな?…まぁ恋人でもない元カノに恋敵というのも寂しいからな。
御園サンから聞いた病院へ辿り着き、さっそく中へ入る。絆は、本当に死んだのだろうか
受付で病室を聞き、中へ入ると……布団は畳まれ、ものけの殻。
「絆…。」
それは、患者がもう入院する必要がない事を意味する。やはり病死して…、いやいや退院した可能性だってある、よくドラマでもあるだろう。
俺は真偽を確かめるべく廊下を歩く看護師に声を掛け、そこから担当医の存在を知り。
その先生がいる部屋へ向かう最中。
「あっ……。」
「ととぉ!スミマセン大丈夫ですか?」
俺とした事が、焦って周りを見ず一人の女性とぶつかり。
「え、えぇ大丈夫です。」
「……。」
「はぁ拓海、これで良かったのよね。」
「?」
担当医から聞いた話だと彼、絆は…。
生きてる……。
でも、手術には失敗したんじゃ…。その事を訪ねようとしたらアナウンスに呼ばれ、聞く事が出来ず。
クイが残りつつ病院を後にし、考えなしに近くの公園へ歩みよる。
絆は生きていた?これは後で御園サンに知らせなくてば…。
これは、喜んでいいのだろうか?最悪の結果は免れた訳だし。
アイツは、一体、何を考えているのだろうか?
今、彼女がどんな思いでいるのか、どれだけ傷ついているのか、解っているのか。
生きてるなら連絡くらい、いや会ってやれよ!
姿無きアイツの姿を思い浮かべ。
「!?」
人気のない公園に、今、見覚えの…いや皆が見たがってた姿が。
「絆?…絆なのかっ!?」
「……。」
返答はない、でも俺と対して変わらない背丈、妙なくせっ毛…間違いないっ!
俺は、幻影のように去ろうとする彼を追う。
次回、26話へ続く。