海斗と幸代-10
それから何軒かの個人店を廻った海斗と幸代。相変わらず世間話しかしない海斗だったが、そのおかげで幸代もほぼ新人の自分の話を相手に聞いてもらえているんだと理解している。久地にはしないが一応感謝はしているのだ。だからつまらない釣りの話や風俗の話にも乗ってやっていたりする。他の男に同じ話をされたらセクハラで訴えているであろう。仕事で世話になっているから多少のセクハラは…、幸代は自分が海斗のセクハラを我慢しているのはそれだけが理由ではないと気付くのはもう少し後の事だった。
「さっきの高島スポーツのオヤジさんとは良く夜遊び行ったもんだよ。何人と穴兄弟になったかわからねーし!」
「あ、穴兄弟って何ですか…??」
「んな事もわかんねーのかよ…。穴を通じて兄弟になったって事だよ。つまり同じ女とたくさんヤッたって事だよ!」
「さ、最低!!」
予感はしていたが、聞いて恥ずかしくなった。
「そもそも風俗って最後まで出来ちゃうもんなんですか??」
どうでもいい事だったが思わず口にした言葉に海斗は詳しい説明を始める。
「基本的にピンサロとヘルスはできないね。ピンサロは口で、ヘルスは素股や手や本番以外の方法で出して終わりなんだよ。」
「素股って何ですか?」
「ローションつけて股に挟んでもらって擦ってもらう事さ。」
「楽しいんですか?そんなの。」
「バカ!巧い女にしてもらったらもしかして本番より気持ちいいかも知れないんだぜ!?」
「ふ〜ん…(ホント、どうでもいいわ…。)」
そう思いながらも分からない事は質問してしまう性格の幸代だった。
「でな、デリヘルは地域によって最後までできるんだよ。普通の地域では家やホテルに呼んでヘルス的な内容をしてもらうんだけどな、運良くここら辺は最後までできるんだな、これが!ソープは確実に最後まで出来る。」
「で、海斗さんはよくどれで遊ぶんですか?」
「やっぱデリヘルだな。まるで恋人のように部屋で楽しめるからな。」
「やるだけの相手なんか恋人じゃないですよ。本当の恋人はエッチだけじゃなくて色々な楽しみとか幸せを与えてくれるものだもん。」
そう言った幸代をじっと見て言った。
「なんか不機嫌か??」
「べ、別に!?」
恥ずかしくなり顔が熱くなった幸代は顔を逸らして窓の外を向いてしまった。
(な、何言ってんだろ、私…)
ハイハイ聞いていればいいものをいちいち話に乗ってしまう自分が嫌になってしまう。
「じゃあ帰るか。今日あちこちで頼まれた事、しっかり対処しとけよ?」
「はい。」
2人は事務所に戻った。毎回こんな感じで同行する2人だが、幸代が話しを合わせるのが巧いのか、海斗の頭が子供なのか、以外にいい関係を保っているのであった。