シ-2
「車が必要なら、
隣の息子が大学が休みで帰ってきてるからアシに使うか?」
「となり?」
「ああ、隣の息子」
「隣ってどこ?」
見渡す限り畑じゃん。
「たとえ車で5分かかっても、隣は隣だ」
にやっと笑うけど。
隣、ねぇ。
「うん。もしその子に時間があるのなら。
お願いします」
「ん。じゃぁ、連絡とってやる」
そんな話を朝食の時にして、
片付けもそこそこに畑に出た。
お昼を見計らって私だけ少し早目に家に帰って
お昼ご飯を作る。
蚊帳を釣った畳の部屋に布団を敷いて
二人で軽くお昼寝をする。
ここ数日でできた、二人の生活リズムだ。
真夏の暑い時には仕事はしない。
その代わり朝早く起きる。
なんだかとっても自然と共に生活しているようで
何のためにここにいるんだか忘れそうになる。
ふとお昼寝から目を覚ますと
となりで寝ていた片桐さんが私の髪をなでていた。
「あと30分寝ろ」
「ん」
髪を撫でられている行為が心地よくて
私はそのまま、あと少しだけ。と思って寝た。