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艮の金神
【ファンタジー 官能小説】

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交神-1

ここはとても静かだ。

そして虚無。

なんとも現しがたい。暗い闇の世。私はそこに一人、何十万年静かに身を隠していた。
決して、私は間違いを犯してはいない。

それでも
多数の誤解に勝る正解はないということか…

私の名は国祖、国立命。

神々から追いやられ、人々から忘れ去られ、「鬼」と呼ばれることになった。

ーーーーーーーーーー

岩戸の奥深く眠り続けて幾年月が流れたことか。
何十万年も一人暮らしていた洞穴に、始めて光が差した。

「誰だ…」

ついにどの神かが私を消滅させに来たか。
やっと、孤独から解放されて無になれるのか。
しかしながら、恐ろしい。
無に帰すとき、私は痛みを感じるのだろうか。
わからない。
思わず私は身構えた。いつでも、やるがいい。
殺したくば殺せ。
目を閉じ、胡座をかき、姿勢を正した。
長く長く、静寂が流れた。

「あのぅ…」

か細く高い、小さな声が響く。
そこに現れたのは、若く美しい娘だった。
私は思わず気が抜けてよろめいた。

「なんだ。かような娘か」

娘は少し震えているようだ。白い肌に桃色の唇を固く結び眉を寄せて怯えた様子だ。
にもかかわらず、こちらへにじりよってくる。

「何用じゃ」

「実は…」

娘は震える声で口を開いた。

「外は大変な嵐でございまして…着物も濡れ、もう、行く宛も他にないのでございます。しばらくの間でかまいません。ここで少し温まらせていただきたいのです」

なんだ。そんなことか。と、私は更に力が抜けた。
悠久の孤独を破ったこの娘に、
天晴れとさえ思った。

「かまわぬ、よく休んでから行くが良い」

私は静かに横になった。
すると、
シュルシュルシュル…

衣擦れの音が耳を貫く。
そして、シュル、ファサッ



布の落ちる音がした。思わず娘のいる方向へ目をやると、着物を開いた娘の白い胸、腹が目に飛び込んできた。


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