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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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彼の居ない世界-2

様子がおかしいのは判っていた…、長谷川クンの手術翌日、杏から愛おしい恋人の完治を知らせる元気な吉報を耳にすると思っていて、聞いてやるか…と言う感じで電話若しくは直接聞くのを待っていたのに、何時まで経っても来ず、私から電話を掛けても出ず、やっと会えたと思ったら生気を吸い取られたように落ち込み、何を口にするでもなく、自宅へ直行し…。

後で絆のオバサンに電話をし、そのあまりにも残酷な事実を知り。私は杏がそれまで幸せ一杯の顔をしていたのを思い出す。すると、不意に涙が滝のように流れてきた。

あれだけやっと一緒になれるんだ、と期待してたのに…。私まで悲しくなってきた。

それでもいつものように明るく振舞る、それでなくても落ち込んで励まそう思ったのに、
まさかここまでとは…。

「ねぇ直哉!高校卒業したらどうするの?」
「そうだなぁー、大学に入って一流の会社に入りたいなぁ。」
「私とはいつ結婚するの?」
「落ち着いた頃、迎えに行く!お前の親にも挨拶する。」
「きゃは!嬉しい…、絶対幸せになろうねっ!」

またタイミングの悪いカップルの惚気話、肩を並べ教室へ向かう杏は特に目立った反応はしないものの、きっと傷付いたに違いない。

ようやく持病が治り、これで何も障害なく一緒になれると思ったら、永遠の別れ。まぁその手術で死んだ訳ではない、今も生きて小樽の病院へいる。

だけど、持病の治療薬となる臓器が直前になって使えなくなり、また次の臓器を待つには確率も時間もない、だから今は生きてはいるものの大人になる頃には死んでしまう事に。

挫けないで探す事も出来るが、ここまで色々尽くして来て、そんな気力もなく。彼女があんな風になるのも痛い程解る、もう…何もかもどうでもいいんだろう。

大切な友人がこんな事に…、自分の事のように胸がズキズキする。

でも、どうやったらそんな彼女を助けてやれるのか、救ってやれるのか?…きっと答え何か見つからない、今の彼女に何をしてもどう励ましても届く筈がない、だって状況が状況だから…。

そんな風に耽り何もしてやれないでいると…ちょっとした事件が。

「ちょ、何すんだよっ!」
「………。」

休み時間、かつて長谷川クンの部室にゴミを預けようとした不良的な女子二人組。

どうやらその二人が彼をバカにしたそうで、居ても立っても居られず何か罵声を浴びせるでもなく、無言で二人を突き飛ばし。

「謝れ…。」
「は?」
「彼に謝って…。」

凍り付く教室、獣のような瞳で二人を睨み付ける。

「誰が、あの軟弱野郎はくたばったんだろ?ずるいよなーロクに勉強もしないで。」
「っ!…。」

その言葉に頭に血が昇り、案の定乱闘騒ぎとなり。

「どーせならお前らみたいなクズが死ねば良かったのにっ!」
「んだとっ!今頃アイツは三途の川でメソメソ情けなく泣いてるんだろうよー!」
「もういっぺん言って見ろっ!」
「やめてっ!杏、杏ぁっ!」

ようやくこの状況を止める、という行動に移る事が出来、でもこんな事で彼女の深すぎる心傷を癒せた事にはならない。

そしてこの乱闘騒ぎを最後に杏は学校へ来なくなり…。



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