〈狂宴・後編〉-8
『ウフフ……優愛は“何”で一発入れられるのかしら?……蹴りかしら?…それとも拳?……まさか鉄パイプで一思いに…?』
笑いを堪えるかのような言い方に、景子の激情は膨れ上がると同時に、軽蔑の感情も新たに抱いた。
優愛を人質にすれば、何でも言う事を聞く。
そんな見え透いた脅迫を自信満々に喋るタムルと、それに従う部下達に、心の底から激しい憤りが沸き上がってきていた。
確たる証拠も無いままに、そんな風に思えたのは、これは下らない虚栄でしかないのだ。と、自分自身に思い込ませたいという願望があったからなのかもしれない。
「……ね…ねちねちと人をいたぶって……苛つく変態オヤジね!!」
視界を遮られ、視覚までも奪われた景子ではあったが、まだ牙を剥く気概だけは失ってはおらず、口撃を止めようとはしない。
それは哀しいかな、あの日タムルがリクエストした[麻里子のような牝]そのものであり、その期待に見事に応えていると言えた……。
『今の暴言は許せん……そうですよね、タムル様?』
「がぶぅッ!!」
「ッ!?」
股間を貫くディルドと、突き合わされた尻に衝撃が走ると、優愛は苦しそうに声を詰まらせた……それは、先程の凌辱の最中にも聞いた優愛の“悲鳴”だった……。
『今のは軽い小手調べだ……次からは本気でやろうかな?』
「き…ききッ…貴様ぁッ!!」
そうだ。
ここには、あの金髪鬼も居るのだ。
取引先のサロトやタムルの顔色ばかり伺い、気に入られる為なら何でも率先する《小物》が、自分の存在感をアピールしたくてウズウズしている。
『あら、ナイスアシストぉ……その調子で頼むわぁ』
『少しでもタムル様に歯向かったら、この俺がやっちゃいますよぉ』
鬼畜達の主従関係の強化に、金髪鬼の下らない“欲”の為に、優愛が利用されようとしている。
ボロ布のようにされても尚、道具のような扱いを優愛は受けさせられる……それは美穂が受けた傷を遥かに上回るもので、景子は先程の軽薄に過ぎた己の言動の為に、優愛に苦痛を与えてしまった事を、痛切に悔いた……。