ハッピー ファンキー ハロウィン-2
「恐がらなくたっていいぜ。べつに痛い思いはさせない」男が顔を近づけ、囁くように言った。「むしろ、気持ちよくてたまんない、という感じにさせてやるぜ。たっぷりとな」
すると、背の低い男どもの中でも、結構、身長のあるやつが言った。
「犯(や)る順番はどうする? ……やっぱり、背の高い順だと思うけどな」
ノッポの意見は皆から無視され、顔のいい順だとかペニスのでかい順だとか口々に言い始めた。ボスは腕組みをし、黙ってそれを見ている。
ユキは寝室のドアのほうに目を走らせる。隙を見て逃げだそうと尻を浮かせた。ベッドから飛び降りる。駆け出す。
しかし、そこまでだった。男の一人が短い脚を伸ばし、彼女を蹴つまずかせた。
「おいおい、パーティーの主役がいなくなったらだめでしょう」
短い脚にふさわしく一番背の低い男が、うつ伏せに倒れたユキに馬乗りになりながら言った。背中に陰嚢の冷たい感触を感じ彼女は短く悲鳴を上げる。そして、そのチビが身体を倒してユキの乳房を鷲づかみにしたので、彼女はおぞましさのあまり跳ね起きた。チビが振り落とされ、壁に後頭部を打ち付ける。
「! ……痛って〜〜〜〜」
顔をしかめるチビを仲間が笑い飛ばした。そして、彼等の中で最も太ったやつが寝室のドアの前に立ちはだかる。
「奥さん。逃げたけりゃ、このおいらを逝かせてからにするんだな」
デブがわけの分からない事を口にしてふんぞり返った。ユキはそいつを睨んだ。相手は太ってはいるが小さい。彼女はデブに体当たりした。倒してドアを押し開ける……つもりだった。が、相手は短軀のくせに力が強かった。ユキを抱きとめ、身体をひねって押し倒した。そのままのし掛かってくる。
「一番乗り、おいら♪」
デブが上からユキを抱きしめた。乳房に顔を埋め、彼女の柔らかい下腹にペニスを押しつける。既に半勃ちになっていた一物はみるみるうちにフル勃起となりユキの肌にめり込む。
「いやっ。やめてっ!」
ユキはデブを引きはがそうとするが、相手は餅のようにへばりついている。そして、デブの身体がモゾモゾとずり下がると、硬いペニスがユキのヴァギナとご対面した。デブが腰を動かし亀頭が秘裂に食い込む。
『や、犯られる……』
とユキが思った時、
「馬鹿野郎!」
ボスがデブの脇腹を蹴り上げた。
「なに抜け駆けしようとしてるんだ。犯る順番は公平にジャンケンで決めるんだよ」
凄みのあるひと睨みでデブは引き下がり、皆は輪になってジャンケンをした。
その結果、順番を決定する女神はデブに微笑んだ。
「ほうら、やっぱり最初はおいらだ。なにせ日頃の行いがいいからな」
喜色満面のデブがユキのほうに顔を向けた。だが、そこに彼女はいなかった。ユキはドアを開け、寝室から駆けだしていた。
「逃がさん!」
デブが追いかけた。すると、彼のわきをすり抜け、追い越したのがチビだった。チビは機敏な動きで狭い廊下を走り、先行するユキに飛びついた。後ろからの双手刈(もろてがり)を受け、人妻は転倒する。チビはそのまま白い脛(すね)を押さえ、追いついたデブがユキの上半身に覆いかぶさった。後から来たボスがユキの前で仁王立ちになる。つま先でユキの肩を小突く。
「往生際の悪い奥さんだねえ。逃げられっこないってのに」
そして、ボスの指図でユキは皆で抱え上げられ、手足をバタつかせながら寝室へ連れ戻された。
ベッドの上へドスンと放り投げられる。ボスが壁に掛かっているおしゃれな時計を見ながら言った。
「奥さん。もうじき11時。あと3時間もすれば幼稚園の帰宅時間だ。あんたの娘がスクールバスで帰ってくる。それまでにはこのパーティーを終わらせないといけないよなあ」
ボスの顔には歪んだ笑みが浮かんでいた。
『ど、どうしてこいつは娘のことを知ってるの?』
ユキはボスの笑みに不気味さを感じた。
「どうして美羽ちゃんのことを知ってるの? って顔してるな。……ふふふ、俺たちはこの家のことなら大体つかんでる。なにせ、ユキさん。あんたはこの界隈では飛び抜けた美人だからな。興味津々だったんだよ」
自分と子供の名前を知られている恐さで、ユキの心は凍り付いた。だが、美人と言われたことで、その凍った心が、ほんのわずか、数ミクロンだけ溶けかかったのを本人は気づいていなかった。
ボスは、言葉を重ねる。
「さあ、美人のユキさんよ。いつまでも緊張してないでリラックスしろよ。……パーティーの主役のあんたが楽しまないと俺たちだってつまらないぜ」
しかし、ユキは身体と心を貝のように閉じていた。