キレイになってラブラブデート大作戦-5
ひとしきり喚いて落ち着いたのか、天童さんは少し息を弾ませたまま、私の顔をじっと見た。
太めの濃い眉。結構大きめの、形のいい瞳。高い鼻。
黙ってりゃ、かなりのいい男なのに……。
天慈くんといい、この人といい、「オネエ男子」というヤツでも流行っているのだろうか。
「んー、あなた、せっかく素材はいいのに、その壊滅的なセンスが全てをぶち壊してるのよね」
「なんか、チョイスが全て一昔前なのよ」
「ファッション雑誌、読んでる?」
天童さんはマシンガンのように、私のファッションセンスについてダメ出しをしてきた。
それはもう、普通の客ならクレーム入れてもおかしくないほどに。
だけど当の私はと言えば、オネエタレントの多くが、ズバズバもの申す毒舌タイプばかりをテレビでよく見るせいか、かなり失礼なことをたくさん言われているにも関わらず、さほどショックはなかった。
例えるなら、母親にダメ出しをされている、そんな感じ。
とは言え、母親からダメ出しなら、反抗的な態度を取りたくなるのは、若い頃ちょっとばかり「ヤンチャ」してた私にとって癖みたいなもので。
気付けば私も負けじと、
「じゃあどうすればいいんですか」
と、斜に構えて天童さんを睨めつけた。
服も、サンダルも、バッグも、この日のために一生懸命選んで、やっと用意した代物なのに、今さらどうしようもないじゃん。
私は、イケメンには滅法弱くて、目を合わせて会話もまともにできないほどシャイだけど、目の前の敵はイケメンの皮を被ったオネエだ。
何も怖いことなんてない!
だけど、そんな私のガン飛ばしに怯むことなく、というか全く気付かない奴は、
「それが、いい方法があるのよね」
と、ウインクしてから私のそばを離れた。