47%-5
「嘘…でしょ?」
思わず声が漏れる私、そしてもう一度訪ねる。
「私、耳が可笑しくなったんですよね?「手術に失敗しました」って…。」
「……。」
表情を変えず、何も言い返さない担当医。私はこれ以上にないくらい全身青ざめて、目の前の彼に、両手で思いっきり本来耳にすべき言葉を吐かせようと、担当医の肩を乱暴に振り…。
「お願いっ!嘘だと言って!今のはほんのジョークですって言って!酷い悪ふざけだけど許しますっ!……ですから、お願いです。」
「織原サン、だったかな長谷川クンから聞いた。確かに手術は順調だった、最初までは…
けど、後から急に容体が悪化して、どうやら肝心な臓器がやや腐敗しかけていて。」
「やめてっ!今はそんな説明はいらない!」
立場もわきまえず、病室で大声をあげ、乱心する私。
そんな私を見かね、荒れる体をそっと抑えるオバサン。私はいったん落ち着き、代わりに
オジサンが質問をし。
「本当に、ダメだったんですか!適合者が見つかったのに!」
「お父さん…。」
「何とかならないんですか!例え手術は失敗したにせよ、まだチャンスは。」
「…ありません、あるとしたらまた新たに適合者を見つける事ですが、その確率は限りなく少ない、今回は奇跡と言っても過言ではない、見つかったにしたって、坂本サンのように家族の形見をそう簡単に手放せない人で、それでも譲ってくれたにしても、その頃には
長谷川クンの体は衰弱し、成功率も更に下がって。」
それはもはや彼は死を免れないと言っているようなもの、普段温厚なオジサンもうろたえ
「そこを何とかっ!アンタ医者でしょ?お願いしますよっ!…息子は、我々にとって大切な息子だっ!……だから、だからぁっ!」
「貴方……。」
こんな、事って…。
「申し訳ありません、全力は尽くしたのですが…。」
「っ!」
「残り僅かの人生、クイの残らない日々を過ごす事を、お勧めします。」
そう言って、私たちに背を向け、仕事に戻る担当医。
「うっ…ううっ、絆…私の、大事な子……あぁ、どうして。」
「何て、事だ。」
「神様……。」
これは夢だ、そうに違いない。
でも、先ほどから胸を苦しみが止まない。
彼が…死ぬ?。ついこの間まで、助かると舞い上がっていたのに。
「いや、いやいや………。」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
私は、目の前が真っ黒になった。
次回、24話へ続く。