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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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時が経つのは早いもの、気が付けば私たちは高三の秋を迎えていた。教室では相も変わらずで、菫に東堂クン、そして隅っこにはガランとした空席が。

もはや見慣れた光景、けどもうじきそれもなくなる。明日には彼が戻ってくる、いや重い病に対しての手術だから、明日とはいかないかも…、でも近いうちに戻ってくる、私は彼がこの教室で、皆に囲まれるイメージを頭に思い浮かべる。

「彼、もうじき退院するんだってね?」
「うん!いやー楽しみだなぁー。」

空席を眺める私に、声を掛ける菫。

「ふふ…、杏は高校卒業したらどうするの?」
「そうだねー、取り合えず女子大にでも入ろうかのう。」
「女を磨きに?」
「というか、絆一筋で行きたいの、万が一普通の大学で別の男に惚れたりしたら色々と面倒だし、それに女子大は前から少し憧れてた所もあるし。」

彼は、迎えに来る、と言った…。ならばこちらだってこのくらいの事は。絆が亡くなったと思っていた頃、東堂クンに惚れかけてしまった…、その反省を生かす意味でも。

「で、その後長谷川クンに迎えられ、見事画家夫人となる訳か。」
「まだ美術展を創る…何て大それた事が出来るとは限らないしょ。菫こそ将来どうするのさ、うん?」
「美容師になろうかと。」

元々文系で手先が器用な菫、地元の美容室で見習いとして頑張りたいと。

「彼はどうするだろう。」
「おう?」

向こうで陽気にしている東堂クンに目をやる菫、よくよく見ると彼の近くに何処かで見覚えのある女子の姿が目に映り。

「八雲…サン?。」

東堂クン一筋の彼女、私がかつて東堂クンと仲が良く、私を屋上に連れ込み、問い詰めた
女…、あの時は鬼のような形相で恋敵を見る目で、私に嫉妬していたが…。

「最近の彼女、妙に表情が明るいね。」
「ホント…。」

それなのに今では吹っ切れたかのように活発的で。東堂クンと最近行動を共にしていて噂じゃ、付き合ってるとか。

どうやら私があの日彼を振り、それで精神的に弱り切って居た時、悪質にも彼を妬むクラスの男子どもが、そんな彼を罵り出して。彼も言い返す気力もなく、追い込まれていて。
だがそんな彼を救ったのが八雲サンだ、勇気を振り絞って虐めっ子どもに向かって行って
一喝したらしい。東堂クンは色んな女子にモテる、けど他の女子だったらこの状況で、見て見ぬフリして退散するだろう、八雲サンは他の女子と違って彼の外見だけに惚れた訳ではなく。

それから友達の後押しもあって、一緒に下校したり、水族館へ行ったりしているうちに、距離が縮まって行き、ただ今はまだハッキリと恋人同士と決まった訳ではなく。

そんな八雲サンを、放課後一人下校するところを呼び止め。

「あれ?東堂クンと一緒に帰らないの?」
「何よ、大きなお世話だよっ!」

頬を赤く染める彼女。

「東堂クンは…、今日部活があるから。」
「八雲…サン。」
「他に用がないなら、私は帰る、全くアンタにこうして呼び止められまったりと会話をする時が訪れる何てね。」
「……見学していけばいいでしょ?差し入れの一つでも持って。」
「!?」
「好き何でしょ?彼の事。だったらもっと積極的に…。」
「アンタ…。」
「向こうだって同じ事を考えている筈、後一歩、それで君たちは結ばれるのだから。」
「………、何でそんな偉そうな事を言われなきゃ行けないのよ。」

ふてくされつつも、本来の目的地から回れ右をし、体育館へ足を運ぶ。

「勇気を振り絞って、アタックだよっ!」
「るさいねっ!だから余計なお節介だっつーのっ!」

そう言って私に背中を向ける彼女、後で小さな声で「ありがとう」と口にした事、私は知らない。


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