題38章 あなたは自ら申し出て、私の元に来たのでしょうね?-1
翌日、昴は正式な挨拶としてひたぎの両親に会い、結婚を前提とした交際の了承を得た。そして、ひたぎのボディーガード兼メイドとして、水晶が三蜂家に住み込みで働くことになった。
水晶は、昴やひたぎと同い年でありながら、八蜜家のメイドとして英才教育を受けた、とても美しい娘だった。家事や作法はもちろん、護身術でも並の男性では相手にならないほどの実力の持ち主だった。
水晶は、三蜂家に入ることが決まり次第、可愛らしい笑顔を振りまきながらひたぎの母親を手伝い、従順にあらゆる家事をこなして、昴が帰るころにはひたぎを始め三蜂家の皆に愛される存在になっていた。
昴を送り出し、くつろいでいたひたぎがシャワーを浴びようとしたその時だった。夕食の片付けを終わらせた水晶がひたぎに寄り添うように裸になりシャワー室へ入ってきた。
「ひたぎさま、ヘアケアをさせて頂きます!」
水晶は、持参したケア用品の中からひたぎの好みのものを選んで、ひたぎの頭を膝に乗せ、丁寧にひたぎの黒髪を手入れしていく。髪の毛が終わると、泡立てたボディソープを手に取り、手の平で背中からか肩周り、腕から胸周り、そして、ひたぎの美脚をなぞるように手を滑らしていく。
「ひたぎさま。とてもお肌が綺麗です。それに完璧なプロポーションで女性の私でもドキドキしてしまいそう」
「何を言っているの?あなたこそ十分に美しいわ。印象的な瞳にその笑顔、プロポーションも抜群で最近のアイドルよりも充分に魅力的だわ」
水晶の手が、ひたぎの下腹部を優しく洗っていく。
「でも、ひたぎさまには敵わない。ああ、本当にパイパンなんですね。お肌がとても滑らかで・・・手の平では、お肌を傷つけそう・・・」
そういうと、水晶は自分の頬に泡を塗り、頬でひたぎのパイパンをなぞりはじめた。
「ひたぎさま。少し脚を開いてください。大切な場所もケアします」
ひたぎが洗える程度に脚を開く。
「ん、んんん!そこはとても敏感なのよ。手早くお願い!」
ひたぎの指示に答え、水晶が尻の谷間からクレバスまで手早く指を滑らせていく。そして、洗い終わるとひたぎの体から泡を流して、そのままバスローブでひたぎを包んだ。
「このままベッドルームにお願いします。ボディケアはお風呂上りが一番ですから」
水晶はベッドの上にマットを広げるとひたぎのボディを1時間ほど掛けて手入れを行った。その後、ひたぎは日課の勉強をしてベッドに入った。すると水晶が下着一つ纏わぬ姿で、ひたぎのベッドに滑り込んできた。
「どうゆうつもり?」
「ひたぎさまの抱き枕として、一晩中お側におります!」
水晶が潤んだ瞳でひたぎを見詰める。
「そう・・・これまでも、そうしてきたのね?」
ひたぎが水晶を抱き寄せる。
「あなた、とても魅力的な瞳をしているのね。そして、とても可愛いわ。あなたを好きになっても良いのかしら?」
「ああ、ひたぎさま。とても光栄です。気に入って頂けたのなら、ずっとお側に置いて下さい。でも、私はメイドですから、好きだなんてもったいない。ひたぎさまの道具だとお思い下さい」
「あなたの意思が聞きたいの。あなたは私と一緒に居たいのかしら?」
「わ、私は・・・道具ですから・・・」
「私は、道具は傍に置かないわ。答えられないのなら追い出すことになるわよ」
水晶はひたぎの言葉に涙目となりあわてて答える。
「お願いです。ひたぎさまのお側に居させて下さい。水晶は、水晶は、心からひたぎさまのお側に居たいと思っております」
ひたぎは水晶の瞳を長い間見詰めていた。
「テストをします。私の質問に答えなさい。あなたが答えにくい質問になると思うけど、黙秘する事なく、そして嘘やごまかしなく、私を信じて正直に答えられたら、私の傍に居ることを許してあげる」
いつかは聞かれることだと思っていた。そして、それはどんなに聞かれても答えてはいけないことだと思っていた。
「ああ・・・ひたぎさま・・・どうかお許し下さい・・・」
「言ったはずよ。私を信じて正直に答えられないのなら、暇を出します!」
「ああ・・・」
水晶の顔に絶望の色が浮かぶ