題38章 あなたは自ら申し出て、私の元に来たのでしょうね?-3
「ほ、包茎・・・でしたので、皮を剝く練習を・・・完全に剝けるようになるのに半年ほど掛かりましたが、今は、まったく問題ないと思います・・・」
「知っているわ」
「ひたぎさまと出会うまでは、毎日交互に愛子さまと瞳さまとのセクシーな想像を耳元で囁きながら射精をして頂いていました」
「待ちなさい。あなたはどうなの?それに、昴は水晶との行為を望まなかったのかしら?」
「そ、それは、想像ですることも禁じられていましたから・・・」
ひたぎの表情が険しいものに変わる。
「昴さまは大切な跡継ぎですから24時間監視されていて、そこでの会話も全て愛子さまと瞳さまに報告されます。それに、その頃は昴さまの初体験の相手を巡って、瞳さまと愛子さまがお互いに譲らない状況が続いていたので、とても水晶が入り込める余地などありませんでした」
「なんてこと・・・」
「それでも一度だけ、私の耳元で盗聴に掛からないよう小さな声で、今日は水晶とするつもりでするからと仰って下さいました」
水晶がはらはらと涙を零す。ひたぎが黙って水晶を抱きしめる。
「ひたぎさまと出会った日、高校の入学式の日でしたか、昴さまが始めて自分の意思でオナニーされました。その時に、昴さまは・・・水晶、ごめんと・・・好きな人ができたと仰ったのです・・・それからはいつも、ひたぎ、ひたぎと声を上げながら・・・」
「そう、あなたは毎日、私の名を呼ぶ昴に寄り添って、オナニーの手伝いを、射精の手伝いをしていたのね?」
「はい・・・」
「体を触ってもらったことはあるの?」
「いいえ・・・」
「キスも?」
「間違って触れてしまったことがあります。でも、監視されていますから・・・」
「辛かったわね・・・昴を愛しているのでしょう?」
「ああ、ああああああ」
水晶が泣き崩れる。
「昴の傍に居たいから、私に気に入られて私と昴が一緒に暮らすようになった時にメイドとして使ってもらいたいと考えた。あなたは自ら申し出て、私の元に来たのでしょうね?」
水晶がひたぎの腕に縋り、号泣しながら、感極まったように言った。
「お願い、お願いだから、傍にいさせて!愛しているの、ひたぎさまよりずっと前から愛しているのよ!許されないのは分かっているの。遠くで見ているだけでいいの、傍にいることを許して。お願い!お願いします!」
ひたぎが水晶を抱きしめる。
「あなたの言葉が聴けて嬉しいわ。あなたは私を信じて全てを話してくれた。約束通り、あなたが望むだけ、私の傍に居ることを許してあげる。」
「ひたぎさま。あ、ありがとうございます。ありがとうございます」
「条件が二つあるわ。私を信じること。裏切りは絶対に許さないわ。それから、敬語はやめなさい。ひたぎさん。ありがとうで良いのよ。できるわね?」
「はい。ひたぎさん」
「もう一つ教えてちょうだい。愛子さんと瞳さんが昴の相手を巡って争っていたと、そう言ったわね?」
「瞳さまには常に従順な愛子さまが、あんなに激しく瞳さまに詰め寄ったのは初めて見ました。結局、愛子さまが押し切る形で昴さまの相手をすることになったのですが、昴さまがひたぎさま・・・ひたぎさんを好きになって・・・愛子さまは寂しそうでした。とても悩んでおられて、悩んだ末に愛子さまはひたぎさんに譲るとそう仰いました」
「そう・・・愛子さんもまた、昴を愛しているのね?瞳さんは納得しているのかしら?」
「愛子さまが説得されたと聞いています」
「そう・・・」
ひたぎは、しばらく水晶を抱きしめ、その髪を撫でていた。
「私の話もしておきたいの。聞いてくれる?」
「はい」
「私には、昴も認めた彼女がいる・・・綾乃というの。とても難しい子で、あなたとこうしていることを知ったら、狂って死んでしまうかもしれない。そんな娘なのよ。あの娘に水晶はメイドだなんて通じない。だから、今からあなたのことを綾乃に話すわ。いいかしら?」
水晶の了承を得て、ひたぎは綾乃に電話をした。水晶は、昴を愛してしまい、ひたぎに取り入らざるを得なかったこと、綾乃の裏返しでもあり、ひたぎは、しばらく水晶を傍に置きたいと伝えていた。
「そんな心配はしなくていい。毎日傍にいるのだから時には愛し合うかもしれないけど、私にとって、あなたが一番の女よ・・・そんな我侭を言わないの。私を信じなさい。それに私の欲求には限りがないのよ。それをあなた一人に向ければあなたの体を壊してしまう。これで丁度良いのよ・・・それほどまでに言うのなら、次に会う時は覚悟なさい。あなたの体に私の欲求の激しさを刻み込んであげるわ・・・そうよ。素直な綾乃が好きよ・・・あなたと話しているだけで濡れて来たわ・・・そう、あなたも・・・自分で触ってごらんなさい。私に愛されたことを思い出して・・・次はもっと激しくあなたを責めるわ、楽しみにしていなさい。いいわね」
電話を切ると、ひたぎは水晶を抱き寄せた。
「体が熱いわ。今、私はあなたが欲しい。受け入れてくれるかしら?」
「はい。心得ています」
「そう。可愛い水晶。初めて見た時から興味があったのよ。でも、あなたは道具じゃない、性欲処理をお願いする訳じゃないの、二人で愛し合うのよ。いいわね?」
「はい」
水晶はひたぎに甘えるような仕草を見せながら、ひたぎに体を重ねていった。
夜中過ぎまで、ひたぎは水晶の愛をその体で確かめた。そして、水晶が落ち着くのを待って昴を呼び付けた。