戦-5
「あの・・・・あのさ?」
「なに?」
いつまでも私の身体をぎゅっと抱きしめて離さない山崎が
私の耳元で返事をするもんだから
くすぐったくて仕方がない。
「あの。昨日の夜にあった女の子。元カノだよね?」
「まぁ・・・なぁ」
「今は好きじゃないんだよね?」
これはなんとなく心に引っかかっていたので
はっきりしたかった。
「今は俺の友達の彼女。
同棲してる家がこの近くなんだ」
「そうなんだ」
「そ。それだけ」
「あ。でも加奈に感謝したほうがいいぞ?」
「なんで?」
「俺がモテるけど、真面目な男になったのは加奈のおかげだからな」
「へ〜・・・それって、あの子に本気だったってこと?」
「それは・・・どうなんだろうな。自分でもよく分からないな」
「・・・・」
「なんだよ〜さっそくヤキモチか?美咲ちゃん可愛いな」
「もう。茶化さないでよ!
モテる男はこーゆー心配がいやなの!」
そこまで言った私に、腰に巻いていた自分の腕を外して
私としっかり目を合わせる格好をした。
「美咲、良く聞け」
「なによ?」
「俺は3年間。入社式以来、お前に片思いだ」
「・・・・」
「その間、どの女とも寝てない」
「何それ」