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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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再会-2

この街に転院し、入院をして何か月が経っただろうか。

今でもあの遊園地で彼女と過ごした日々が、昨日の事のように思える。

絆っ!

彼女の太陽のように眩しい笑顔が、頭から離れられない。

最後に、おばさんに車で地元の病院に送って貰い、別れた時の彼女の寂しげな横顔。

僕はもうこの世に居ない、杏の世界に僕はもう存在しない。

あの日、学校に再び向かったのは、忘れ物を取りに来ただけ、大事な画材道具を。断じて
彼女の顔をもう一度見たかった訳ではない。

東堂サン、彼は上手くやっているだろうか?不意にあの夜を思い描く。

彼は良い人だ、陽気で行動力があって、彼と一緒に居る時の杏はとても楽しそうだった。

今頃、彼と幸せな日々を送っているのだろう、良かった。

……杏と彼が、楽しく。……僕は、一人。

……。

「2階ですね、ありがとうございます!」
「!!」

看護師や患者とすれ違いつつ、そんな思考に浸っていると、向こうから聞き覚えのある、
懐かしく愛おしく明るい元気な声が、耳に入り。

杏?彼女がここに居るのか?いや、まさか…。

彼女には何も言っていない、転院した事も、家族と和解し生きる希望を抱き、ドナー適合者を待っている事も、何も。

彼女の愛する絆は死んでこの世には居ない、妹や後輩、それに東堂サンに、念入りに口止めをしたのだ、予想外に出会った杏の友達にも…。

まさかな、人違いだろう。ダガ彼女に見つからないよう恐る恐る杏と思しき少女をのぞき込むと。

低い身長、大きな胸。服装こそ遠出用の物ではあるものの、やっぱり間違いない。

僕は、心が風に吹かれる木の葉のように揺れる。

しかし何故だ?たまたまこの病院に彼女の知り合いが入院してそのお見舞いで…、いや、そんな都合の良い話…、いたってこんな遠くに一人で行くなんて、さっき「2階ですね」って言ってた、僕の病室はまさに2階にある、だから。

皆には口止めした筈なのに、どうして?。僕は真っ先に思った。

裏切ったなっ!…あれだけ内緒にしてって言ったのに!…そりゃー口止めを頼んだ時、皆
顔を濁らしてた、胸を張って返事をしてくれた訳じゃない、元々こんなお願い聞いてくれる、何て虫が良すぎた、でもこうするしか他にないと、バラす訳がない、と自分に言い聞かせてた。

彼女が階段に足を踏み入れる、僕の病室に行くつもりだ。顔を合わせたくない僕は、当然病室に戻る事はなく、庭の方へと身を潜める事に。



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