作-2
あ〜・・・これって何の罰だろう。
俺は言いよどむ井上の顔を見ながら
そんなことを考えていた。
確かに高校、大学時代って女と遊んだ時期もあったけど。
ここ5年ほど、一切遊んでない。
あの時、モノのように遊んだ女たちからの罰だろうか。
「そっか」
上の空でそんな言葉を井上に返し
「俺、ビール飲んでも良いかな?
夕飯まだだし、8時まで仕事してたんだ」
疲れた声でそんな風に言えば
「あ。ごめん。そう言えばスーツだね」
なんて俺に興味がないんだろう。
土曜日にスーツで帰ってきた俺の状況なんか気にもしない。
冷蔵庫から2本のビールを出して
1本を井上に渡す。
コンビニ弁当を袋から出して
食べ始めた。
「続きをどうぞ」
これは、俺が井上をきっぱりあきらめるための儀式なんだ。
そう自分に言い聞かせて
とにかく味がしないコンビニ弁当を口の中に入れ続けた。
これ、先週食べた時には美味かったのに・・・・
「あのね」
ビールを一口飲んで、その後缶を握り締めて
こっちに身を乗り出してくる。
そんなに近づかなくたって
この部屋には2人しかいないんだから
誰も聞いちゃいねーよ。