Purple wedding-1
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―――大陸某所
「ん・・・・・・」
最後に意識があったのは確か夕方の筈だったが、ルールーが目を開けた時には窓の外は既に夜の帳に包まれていた。
「・・・・・・」
おもむろにムクリと起き上がり、辺りを見回す。
この場所に拉致されてきてから既に半年。
もう見慣れてしまった寝室だが、
こうして夜の帳が降りてからだと今更ながらにひんやりとした部屋の空気だけではなく、“自分の立場”というものを意識してしまう。
ルールーに合わせたかのような紫を基調にしたベット一式。
机に椅子、着替えがぎっしりつまった衣装箪笥。
あとは小型冷蔵庫に壁にはフクロウが飛翔する瞬間を捕らえた絵画がかけられている。
部屋の造りとしては、どこか無機質な印象。
テレビや電話を置いていないことも含め、全てこの建物の主である“彼“が用意したものばかりだ。
その“彼”も最近まで行き先言わずに遠出をし、昨日ようやく帰ってきた。
―――ザァァァァ・・・・
壁の向こうから微かにシャワーの水音が聞こえてくる。
その音を確認してから、ルールーはベットを抜け出し厚手の白い生地のカーテンが取り払われ、素足のまま星空の微かな光が入ってくる窓辺に立つ。
床にひかれたカーペットのおかげで、床から伝わってくる筈の冷たさは一切感じることはなかった。
この建物自体が高台にある為か、平屋の造りでも周囲を“見下ろす”形になる。
漆黒の山々と森が眼下に広がる中、点々として幾つかの明かりが見える。
“彼”いわく“避暑地“というお土地柄か、避暑に来ている人間の営みの名残になるだろう。
もっともルールー自身は直接確認の為に足を運んだわけではないが。