デートプランを立てましょう-5
ためらう私とは対照的に、ノリノリの天慈くんは、
「それで、二人してオシャレして、デートしてさ。夜は夜景の綺麗なレストランでディナーするの」
と、瑠璃を膝の上に乗せた。
「ディナー、ディナー!」
瑠璃の合いの手が入り、妙に勢いづいてる二人。
ってかさ……。
「無理だよ、ディナーなんてお金ないもん。私は別にそんなお金をかけたデートしなくてもいいのよ?」
美容院行って、服を新調した上でディナーなんてしちゃったら、当分ご飯と梅干しだけになってしまうじゃない。
それでなくても、こないだ車検をしたばかりで厳しいのに。
能天気に囃し立てる天慈くんは独身で、まだ学生だから、そんな好き勝手言えるんだよ。
私は輝くんと二人きりで街を歩いて食事して、それでラブホで休憩して思いっきりエッチできればそれでいいの。
――だから美容院の件もお断りさせてもらうから、そう言おうとした、その時。
「ちょっとぉ、そんなんじゃダメェ!」
と、天慈くんがプクッと頬を膨らませて私を睨んでいた。
ん?
何か様子のおかしい天慈くんに、違和感を感じ、眉間に力が入る。
瑠璃ですら、驚いて彼の膝から飛び降りてあんぐりと口を開けている始末。
え、もしかしてこの子……。
イケメンで、彼の周りにはいつも女の子ばかり集まるという、モテモテ天慈くんのいつもと違う口調は、なおも続いた。
「せっかくのデートなんだから、もっと気合い入れなきゃ! そんなんじゃ兄貴とラブラブになれないゾ!」
口を尖らせて怒りながら、私を指差す仕草は、ぶりっ子アイドル(しかも微妙に古臭い)を彷彿させて……。
「て、天慈くん……?」
「オレはねぇ、お金使えって言ってんじゃないの。デートにかける意気込みを見せてって言ってんの!」
だけど、天慈くんの勢いに圧倒された私は、ただたじろぐだけだった。