夜のサービス-1
食器の片づけを終えると海斗は風呂を沸かしに行く。ソファに座った瀬奈は海斗が戻って来るのを待っていた。
「まぁゆっくり風呂でも入れよ。海に飛び込んだだけあって海臭いからな。」
「えっ?もしかしてずっと匂ってた!?」
「ああ。今でも海臭いぞ?」
「早く言ってよ〜…」
自分の体や服の匂いを嗅ぐ瀬奈。たしかに海臭い。
「俺は海の匂いが好きだから平気だけどさ、さっき買い物してたとき、結構振り向いてたよな、客!」
「恥ずかしい…」
体を小さくして恥じらう瀬奈。
「一緒に入る??」
いきなりの爆弾発言に海斗はひっくり返りそうになる。
「ば、バカかお前!!今日逢ったばかりの女といきなり風呂入れるか!?」
「え〜?だって風俗だったら初めて逢った女の人とお風呂入ったりエッチな事しちゃうんでしょ?同じじゃん。」
「これとそれとでは話が別だわ!いいから入ってこいよ…!」
瀬奈は意地悪そうな笑みを浮かべた。
「海斗、意外とマ・ジ・メ!アハッ!」
そう言って風呂に行った瀬奈。
「ったく。」
深く溜息をついた海斗。しかしよくよく考えれば瀬奈と今一緒にいるのが不思議だ。自分は今日、台風の中釣りに行っただけで終わり、いつものように一人で飯を食い風呂に入って糞して寝るだけのはずだったのだから…。それがまさかこんな事態になるとは思ってもいなかった。
「でもどんな出会いにも必ず意味はあるもんだ。あいつとの出会いにだって何かあるかもしんねーしな!」
海斗が期待しているのは夜の楽しみではない。もしかしたらこれから休日には一緒に釣りに行ってくれるのではないかという期待だ。万が一だが、まさかそんな事はないと思うが、平日に釣りに行きもし全然釣れない時でも話し相手がいれば楽しそうだからだ。
「あいつを釣り浸けにしてやろうかな…グフフ!」
一人で笑ってしまった。その笑いを風呂から出てきた瀬奈に見られてしまう。
「やだぁ、私との夜を想像してたの〜?」
「わっ!?馬鹿!違うわ!」
本気で焦った海斗。しかし風呂上りでさっき買ってきた部屋着姿の瀬奈を見てドキッとしてしまう。
「ふ、風呂入ってくるわ…。」
「??」
そそくさと部屋から出て行く海斗。短パンにタンクトップ、しかもノーブラの瀬奈にちょっと興奮してしまった。海斗は風呂に入り煩悩を洗い流そうとしていた。
「あんな姿でウロウロされたら勃起しちまうよ…。いや、してる…。」
湯船に浸かりながら下半身は湯温よりも遙かに高くなっていた海斗だった。