アラフォー由美子の初体験-7
「博さんのペニス?」
幼くして父を失い、母娘二人の生活で、今まで男性性器をまともに見たことがない。
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画面を左下から右上に、斜めに四十五度の角度で、褐色の柱が横切る。先端部分は、コブラが鎌首を持ち上げた様に傾斜し、首の付け根は鉢巻き状にくびれている。最初に見た丸い物体の側面に違いない。
始めてみる勃起した男性性器に、マウスを持つ由美子の手がわなわなと震えた。
女性週刊誌や、ドクターの診察室で見た解剖図のものからは想像も付かないが、もう疑う余地が無い。
柱の付け根は、黒々としたヘアーに覆われ、背景に博に違いない内股の肌が淡い肉色のバックになって、怒張したペニスを生々しく浮き上がらせている。
「博さん、もう駄目」
由美子は、パソコンをログアウトさせると、ベッドに倒れ込んだ。
(あの逞しいモノが)
今まで蜃気楼のように想像の世界の存在であったペニスが、しかも博自身に違いない現実を見せられて、由美子は焦った。
(博さん、素晴らしいモノを持っているのね)
不安をよそに欲情はたぎり、クリトリスを数回撫でると、由美子は腰を波打たせて、激しいオルガスムに達した。
8.
シドニー・センターのイントラ・ネットワーク整備のため、由美子は転勤に先立って一週間の出張をすることになった。
思ったより早い再会のチャンスを博に告げると、博からも喜びに溢れたメールが届いた。
由美子の転勤することになっているセンターは、シドニー北部郊外のチャッツウッド駅から歩いて、五分のビジネス街にある。
金曜日、仕事を早めに切り上げ、迎えに来た博のBMWの助手席に乗り込む。前回の博との逢瀬が、つい昨日のようによみがえる。吸い込む空気に、車内に漂う博のアロマが漂って、胸元がうずうずと落着かない。
「一寸走るけど、とても良いところがあるんだ」
博はそう言うと、パシフィック・ハイウエイを更に北に向って高速道路を走る。
切り立った砂岩の切り通しをしばらく走り抜けると、眼下に満々たる水を湛えるホウクス川岸に出た。横風に注意の看板を尻目に、橋を渡りきる。
やや細くなった稜線の道を数分走ると、眼前に南太平洋の海原が茫漠と現れた。
道はやがて下りになり、海が建物の屋根に隠れて見えなくなると、やがて南欧風の瀟洒な建物の車寄せに入った。
玄関の四本並んだ巨大なコラムの間から、ドアボーイが笑顔を浮かべて近寄る。
博の開けたトランクから、由美子のスーツケースを取り上げる。
「ミセス・タナカ、プリーズ・ジスウエイ」
由美子は博に寄り添うと、ボーイの後に続く。
「こんなに大袈裟にして頂かなくても・・」
市内のホテルで一夜を過ごす積もりでいた由美子は、意外な成り行きに戸惑った。
「僕らの新婚旅行ですよ」
博は軽く受け流して、フロントに歩みを進めた。
「ミスター・アンド・ミセス・タナカ、オマチシテオリマシタ」
レセプショニストが、にこやかに迎える。
チェックインを済ませると、ボーイが再び由美子のスーツケースを取って先に立った。
「ミセス・タナカ、コチラヘドウゾ」
窓一面に、海原が広がる。
既に日が落ちて、波頭の白さのみが目立つ海面からは、ヨットの姿は消えていた。
「サンキュー・サー」
口早に部屋の設備の説明を終えたボーイが、チップを受け取って出て行くと、博は海原に見とれている由美子の横に並んだ。
「きれいだ」
「こんな素晴らしい海は、見たことないわ」
「由美子さん、君は本当にきれいだ」
「あら」
振り向く由美子の声が、博の口の中に吸い込まれた。