逃亡-11
「音声もきちんと放送してもらおうじゃないか。」
「音声も放送してください。」
緋村の言うままに、瑞紀はプロデューサーに「お願い」する。テレビの音声が切り替わった。
「いい揉み心地だ。」
緋村の生の声とテレビ放送されている声が重なる。
柔らかくて張りのある感触は、ブラジャーの上からでも十分甘美なものだ。
「テレビカメラの前でおっぱいを揉まれる気持ちはどうだ?」
意地の悪い質問に、瑞紀は何も答えなかった。自らのプライドにかけて無視することに決めたらしく、唇を真一文字に結んで、屈辱に必死で耐えている。
ルームミラーごしにその表情を楽しみながら、緋村が言った。
「いつまでそうやって澄ましていられるかな。」
瑞紀の剥きだしの肩がピクッと震えた。緋村の手がいよいよブラジャーの中に入り込み、柔肉の隆起を直に掴んできたのだ。
「あっ! いやっ!」
尖った乳首を腹でこすられて、反射的に瑞紀が声をあげる。
「たまらないオッパイしやがって…」
緋村が瑞紀の耳元で囁く。片手でやっとつかめるほどの豊かな胸乳は、それでいて柔らかすぎず、男を有頂天にさせる揉み心地である。
膨らみをネチネチと揉みほぐされているうちに、敏感な乳首が硬くしこってきた。運転に影響が出ないよう身動きせずに耐えているせいか、かえってジーンと快美感が瑞紀の身内をせりあがってくる。
緋村の右手が、絹のような肌を脇腹から腰まですべり降り、パンティの上からいきなり股間を突ついた。
「やめて!」
瑞紀はむずかるように身をくねらせ、太腿を閉ざした。また、車体が左右に振れる。
脚を閉じたくても、運転している瑞紀は脚を閉じることはできない。それをいいことに、緋村の指先は彼女の股間を這い回り、布地越しに秘裂を探り当てて、力強くグイグイと花びら全体を刺激してきた。
「ううっ、や、やめてっ!」
「どうだ? 気持ちいいか?」
ニヤニヤ笑いながら、緋村は指を淫らに動かして、パンティの上から瑞紀の敏感な部分に小刻みな刺激与えてくる。その間も左手は乳房を揉み、乳首をいじり回している。
やがて布地がじっとりと湿り気を帯びてきた。指の腹でこすりなぞられるたびに、パンティのなかでクチュクチュと愛液が跳ねるのがわかる。
「おや、アソコをいじられて感じてきたのか。すました顔して、スケベなんだな、お前は。」
「ち、違います!」
生中継のカメラの前で、恥ずかしい体の変化を指摘され、瑞紀は真っ赤になって叫んだ。
「ほら、下着の上から触っても指がベトベトになっちまう。」
「ああっ、もう許してください。お願い…」
とうとう瑞紀は、泣きそうな声で哀願した。
その時、緋村の横に置いてあった無線機が呼びかけてきた。
「緋村同志。」
「なんだ? いいところなんだ。邪魔するなよ。」
瑞紀を陥落させる寸前のところを邪魔されて、緋村が不機嫌そうに言う。
「すみません。しかし、どうもまだ発信器が積まれているようです。」
「ほう、そうか?」
緋村は相づちを打つと、しばらく何か考え込んでいたが、やがてニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「ふん、ここだな。」
胸と股間に当てた手が、縫い目の部分を触る。巧妙に仕掛けられたワイヤーをなぞって指が止まった。
「さっき、発信器を隠していないか尋ねた時、嘘をついたな。」
表情を隠そうとする瑞紀の顔が蒼白になる。
「次のサービスエリアに降りてもらおう。徹底的に検査させてもらうからな。」
ルームミラー越しに瑞紀の目に映った緋村の顔は、嬉々とした表情を浮かべていた。