友達以上、恋人未満。-1
「はぁ、私もこのお魚サンのように過ごしたい…。」
「ほほぅ……。」
俺は今、織原サンと共に水族館へ来ている。
「今度の休みの日、水族館に行かない?」
「えっ?」
俺の誘いに、少々遅れて首を縦に振る織原さん。
ぎこちない返事に、本当は行きたくないのでは?と疑問を抱くも、十分程してやってきた
織原サンは、手を振り駆け足で俺の待つ水族館へ来てくれた。故に俺の取り越し苦労で終わった。
「次、亀サン、見に行こうか?」
「そうだね。」
別につまらない訳ではなさそうな彼女、しかし心の奥底から楽しんでる感じもなく。
「なぁ、タッチプールだって!やってみようぜ!」
「いいですなぁー。」
「……。」
言葉とは裏腹に低い声のトーン。
さっきから俺の提案にただ頷きついてくダケの彼女。
「ねぇ、楽しんでる?」
「もっちろん!こういう空間が何とも言えないし。」
ウソばっか。すると大きな水槽の奥で記念撮影をされてる若い男女を目にし。
「そこのカップルさんも、一枚いかがです!?」
「えっ?」
先ほど若い男女を撮影した、威勢の良いここのスタッフが、俺らを見て記念撮影を誘う。
それから断る間もなく、勢いに乗せられ自分達も水槽の奥へ立ち…。
「ほらほら動きが鈍いよ!もっと近くに寄って、笑顔笑顔!折角のデート何だから。」
言われるがまま、織原サンの近くへ寄る。彼女から寄る様子は一切なく。
「はい、チーズ!」
シャッターが下ろされる。
カップル……ねぇ。