変人の温もり-7
答えに困り戸惑う海斗。その時に大きな腹の虫が鳴る。
「あ、そうだよね。お腹空いたよね??」
「あ、ああ。もう夜だしな。今日はまともに飯食ってないからな…。」
海斗を見て瀬奈がニコッと笑う。
「ご飯、作ってあげる!」
そう言って立ち上がった。
「お前、飯作れんの??」
「作れるわよ。ねぇねぇ、お魚コレクション見せてよ。」
「コレクション…」
海斗はあまりにたくさん魚を持ち帰る為に分けても分けてもまだ余る魚を保存するのに業務用の大きな冷凍庫を台所に置いてあるのであった。その冷凍庫に歩いていく瀬奈。そしてふたを開けた。
「わっ!!」
大量のコレクションに驚く瀬奈。
「す、凄いね…」
「鯛、鯖、カンパチ、ヒラマサ、何でもいるぞ!?」
「や〜ん、嬉しくなっちゃう♪」
素直に感動する瀬奈を見て海斗はニンマリと笑う。
「本当に魚、好きなんだな!」
「好きよ?特に青物大好き!」
「青物好きか!?ハハッ!やっぱお前、いい奴だ!」
あまり女性は青物を好まない。そんな中で青物が好きと言った瀬奈にはもはや何の疑いも持たなくなった。
「ちゃんと血抜きしてあるから臭みもないぜ??」
「さっすが〜!釣り名人!」
「いや〜!」
頭をかいて照れる海斗。瀬奈は魚を選び始めた。
「わっ!ブリあるんじゃん!!じゃあブリ大根にしよっか?」
ブリを手にする瀬奈に海斗は意地悪そうに言った。
「ブリ大根は難問だぞ?旨いブリ大根を作れれば男なんてイチコロだと言われるぐらいだ。作れんのか〜?」
そんな海斗に胸を張り答える瀬奈。
「じゃあ海斗は私にイチコロね♪」
「おっ!大した自信だな!じゃあ作ってみろ!材料は好きに使っていいぞ?」
「オッケ〜♪ゆっくり休んでてよ。」
そう言って早速料理にとりかかる瀬奈。海斗はテレビの前に寝転がりテレビを見る。テレビを見ながらチラチラと料理をする瀬奈の後ろ姿を見る。
(い、いいなぁ、こうゆーの…。)
料理をする女の後ろ姿にうっとりする。そんな瀬奈を見ていると実に慣れている事に気付く。テキパキと動き迷いがない。それだけで味の心配は消えてしまうぐらいだった。
とは言え海斗の料理の腕前も相当なものなのだ。釣った魚をどう料理するかいつも考え試している内にすっかり達人になってしまった。
(まぁ俺には敵わないだろうけど、そこそこのもん作りそうだな。)
上から目線で構えていた海斗。次第にいい匂いが香ってきて料理が待ちきれなくなってきた。
「はい、できましたよ、ご主人様!」
テーブルに並べ終わると瀬奈がニコッとしなから言った。
「おう!」
海斗は起き上がり、すっかり審査員になったつもりで料理の並ぶテーブルに向かい、そして椅子に座った。