変人の温もり-5
いよいよ海斗の家に着いた。着いた瞬間に瀬奈は唖然として口を開けていた。
「こ、これ…、海斗の家…?」
「ああ。一人で住んでる。」
瀬奈が目にした物はとんでもない豪邸だった。ガレージにはたくさんの車が停まっている。庭は庭園と呼べる程の立派なもの。池もある。そして二階建て豪邸。瀬奈は唖然としていた。
「まー、親が残したもんだから。」
「ご両親は…?」
「俺が中学の時に事故で死んじまったよ。それからずっと一人で住んでる。近くにじーちゃんばーちゃんいるからあまり困った事はないけどな。ただ、じーちゃんばーちゃんと親が仲良くなくて、こんなデカイ家に一人で住みたくないから一緒に住もうとお願いしたんだけど、馬鹿息子が建てた家になんか住みたくないと拒否られてな。じーちゃんもまた変人なんだよ。」
「海斗、中学生の時から一人で生きて来たんだ…。」
「そんな大袈裟なもんじゃねーよ。じーちゃんばーちゃんには世話になってるし一人で生きてるって感じはなかったな。ま、いーから上がりなよ。」
「う、うん…。」
中に入るのも緊張してしまう。海斗がセコムを解除した。
「せ、セコムしてるんだ…。」
「ああ。高校の時に泥棒が入ってな。たまたま二階にいてさ、一階に泥棒が見えたから投網で捕まえてやったのさ!まぁ目立つ家だろ?だからまた狙われそうだからセコム入ってみたんだ。長嶋監督も勧めてるしな。ALSOKとどっちにしようか悩んだんだけど、セコムにしてみた。」
「そ、そう…。」
辺りをキョロキョロしながら玄関に入る。海斗が電気をつけるともはや神々しさまで感じる豪華さに足が竦んでしまう。
「まぁ気にすんなよ!俺自体は釣り好きのサラリーマンだし。生活は至って質素だからガッカリすんなよ?アハハ!人はこの家をヘンジン屋敷と呼んでるよ。」
海斗は豪快に笑って瀬奈を家に招き入れたのであった。