乙-3
「カンパーイ」
いつも言っている居酒屋は先輩たちもたくさんいるので
同期の愚痴がいい辛い。
ということで、今日は少し離れた居酒屋に来ている私たち。
会社も3年目になれば少しずつ愚痴の種類も違ってくる。
仕事が思うようにいかなくて先輩を愚痴る人。
忙しい仕事量を愚痴る人など様々だ。
受付に座る私は、割と人間性が見えてくる。
今日は愚痴をいいに来たんじゃない。
お目当ての永田君を見つけ
そっと隣に座ると愚痴も言わずにお酒を飲みながら
みんなの話を聞いていた。
「ねぇ。永田君。経理に橋本さんっているじゃない?」
「うん。橋本さんがどうした?」
「どんな人かな〜と思って」
「は?」
「えっと。ちょっと知りたいなぁ〜って」
「橋本さんを?」
「そう。橋本さんを」
「井上が?」
「へん?」
多少お酒も入って、正直になった永田君がビックリした顔を隠さない。
「えっと。何のために?」
そんなことまで聞くの?
「ちょっと、モーションかけようかな・・・みたいな?」
「井上が?」
「変?」
変だろ!と声に出さなくても表情が物語ってるよ。
「永田、お前も変だと思うよな?」
そんな私たちの会話に山崎が割り込んできた。
「井上が、橋本さんを気に入ったらしい」
山崎は黙ってて!
「どこを?」
素朴な疑問です!ってな真剣な表情で永田君が私を覗き込んだ。
「地味なところ?」
「はぁぁ?」
山崎と永田君が同時に大声をあげた。